06.26.09
パッカー
最近、集中して行っているのが、パッカーの練習。何を今更、という感じもしますが、実は私はパッカーの演奏が大の苦手なのです。普段は全てタング・ブロックで演奏するので、たまにパッカーで吹いてみると、うわっ何これ!というお粗末な演奏になります。これまでタング・ブロックのみの演奏に不自由を感じたことはなかったのですが、訳あって、パッカーももうちょっとましにできるようになろうと心に決めたのでした。その訳というのは、オーバー・ブロウ / ドローを演奏に取り入れようと思い始めたことにあります。私は、オーバー・ブロウ / ドローがまだ、タング・ブロックでできないんですね。練習はしているのですがなかなかできなくて、これは時間がかかりそうだということで、とりあえずはオーバー・ブロウ / ドローを使う時はパッカーに切り替えようと決めたのであります。
プロの人はだいたい、パッカーとタング・ブロックをミックスして演奏していることがほとんどだと思いますが、ジョー・フィリスコやデニス・グルンリングなど、ほぼ100%タング・ブロックを使う人もいます。デニスに憧れてハープを始めた私としては、彼の言葉を信じて (笑)、タング・ブロックこそがブルース・ハープの道だ!というような感じでこれまで練習して来てました。今でもそういう思いは少なからずあって、タング・ブロックを多く使うプレイヤーの演奏の方が、音色もその演奏のアプローチも、好みだと感じることが多いです。しかし、デニスやジョーの様にタング・ブロックでオーバー・ブロウ / ドローができるようになるにはまだまだ時間がかかりそうだし、それまではひとつパッカーでやってみようじゃないか、ということにしたのです。以下、練習の覚え書きです。
まずはトーン (音色) 作り。良いトーンが出せなければ何も始まらない、ということで、いつものスケールをパッカーで練習。ううっ。トーンがかなり貧弱。特にベンド音。口の先をすぼめてストローで飲み物を飲む時のように 「チュー」 という感じで吸うという、薄い音にならないためには死んでも避けたいやり方でベンドをしそうになってしまう。いかーん!!そこで、タング・ブロックに切り替え、同じ音を吹いて、正しい身体の使い方を確認。そうそう、ここなのよねー。口の形は変えないで、喉のこのあたりを下げる感じで、この部分で発音するようにベンドするのよねー。と確認して、今度はそれを再現するようにパッカーで吹いてみます。こうして、タング・ブロックで見本を示して (自分で自分に見本を示すというのも変な話ですが。)、パッカーで再現するのというのを繰り返し練習して、良いトーンでスケールが吹けるようにします。まあ、なんとも面倒な練習であります。
タング・ブロックだとベンドがしにくいと言う人もいますが、私は、正しい身体の使い方でのベンドを学ぶには、タング・ブロックはとても役に立つと思います。パッカーだと口先でベンドをするという間違いを犯してしまうことは簡単ですが、タング・ブロックだと舌と口がハーモニカに固定されるため、嫌でも口先以外の場所を使ってベンドをしなくてはならなくなります。舌をハーモニカにつけ、口を大きく開くことによって、口の奥や喉が開きやすくなるので、ナチュラル音 (ベンドしない音) のトーンも良くなることが多いです。「すべてタング・ブロックで演奏するべきだ」 とは言いませんが、トーンやベンドのテクニックを改善したいと思っている方は、試してみる価値は大いにあると思います。
さて、スケールがだいたいできるようになったら、次はタング・ブロックとパッカーの切り替えの練習。スケールを、タング・ブロック→パッカー→タングブ・ロック→パッカー・・・と、一音ごとに切り替えて練習。トップの音まで行って戻ってきたら、次は同じスケールをパッカーから始め、パッカー→タングブ・ロック→パッカー・・・と練習。これもまた面倒ですが、効果はありです。
更に、私がいつもタング・ブロックで練習する基礎練習のひとつ、タング・スラップとコード・リズムを織り交ぜたブギ・パターンを、パッカーで練習。ビッグ・ウォルター様がよく使うテクニックです。これを、12バーの構成でやります。ウォルター様はタング・ブロックを使っていますが、それに近いサウンドをパッカーで作り出すようにがんばるのです。良いトーンで吹けているか、きちんとアーティキュレートできているか、ベンド音のピッチは正確か、などとひとつひとつ確認できるゆっくりのテンポからはじめて、少しずつテンポを上げていきます。
これらの練習を始めてから今日で5日目くらいですが、だいぶ自然にパッカーの演奏ができるようになってきました。私は使うポジションが多いので、スケールもブギ・パターンも、全てのポジションでやると、かなりの量になります。パッカーの練習の他に、毎日の日課であるタング・ブロックでの練習も普通にするため、最近は基礎練習だけでものすごく時間がかかってしまいます。でもそのおかげで、この頃は曲をやってもなかなか調子が良いです。楽器の演奏はスポーツのように、日々の体作りがものを言うというところがあると思います。
オーバー・ブロウ / ドローを演奏で使うことについても書く予定でいたのですが、思いのほか長くなったので、次回にしたいと思います
ダイ 発言,
2009/06/29 に 10:10 am
すごいですね!全てのポジションをCでやられるのですから、オーバーブローやオーバードローはできるんだろうなぁ、と思っていましたが、音を出されるだけで尊敬します。
まして、タングブロックでチャレンジされていたとは!
私の場合はパッカーですが、目だけが上を向いて、音がでません。
たまに、『あ出た』と思っても、隣の穴を吹いてたりします。
あまり、続けると目の回りに星が飛ぶので、元気な時以外はやれません。
Yuki 発言,
2009/06/29 に 7:36 pm
>ダイさん
わはは。わかります~。目が上を向いちゃいますよね (笑)。
私はだいたい全てをタング・ブロックで演奏するので、オーバー・ブロウ / ドローもタング・ブロックでできた方がやりやすいだろうな、ということで、気長に練習したいと思っています。でもとりあえずは、パッカーとタング・ブロックを切り替えて演奏できるようになることが目標です。
flower 発言,
2009/07/12 に 9:35 am
はじめまして。
いつも参考にしています。Yukiさんの文章、好きです。
一年ほどタング・ブロックでトライしてきましたが、この夏、パッカーに戻しました。
パッカーの方がしっくりくるのです。パッカーのくちびるの感触や、シャープな音が俺は好きです。それから、タング・ブロックのアタック音、『バフ』っていう音は、おれの場合あまり必要ない感じがするのです。本当に必要なときだけタング・ブロックにすればいいかなっていう感じで気持ちが落ち着きました。
タング・ブロックのほうがブルースマンらしいイメージがあって、執着していたのですが、問題はスタイルではなくて、音だと思うので、やっぱり、おれはパッカーです。
タング・ブロックに切り替えたときの、あの振り出しに戻った感じや、タング・ブロックでやっとベンドができるようになった苦労なんかを思うと、もったいない感じもするんですけどね……。
Yuki 発言,
2009/07/12 に 10:57 am
>flowerさん
こんにちは。読んでいただいてありがとうございます。
私は全く逆で、タング・ブロックの口全体で感じる感触や、太く厚い音が好きなんです。タング・ブロックのアタック音は私は好きですが、確かに癖になってやりすぎる人も多く、それはどうかなと思いますよね。でもパッカーで息の圧力を使って強いアタックをする人もいて、私はそれもあまり好きではありません。肝心なのはどのように使うかということだと思います。
振り出しに戻った感じというのは、パッカーから切り替える時には誰でも感じることで、みんなそうやって苦労して習得しているのだと思います。ちなみに私は現在、パッカーでこの振り出しに戻った感じをひしひしと味わっています。これもまた傍から見たら無駄に見えるかもしれませんが、自分へのひとつの課題として取り組んでいます。慣れるまでは大変ですが、それで得ることの大きさを考えると、それほど大した苦労ではないと思います。
良い演奏さえできればどちらでも良いとは思いますが、パッカーを主に使うか、タングブロックを主に使うかということは、その人の演奏の根本的なスタイルを決めるものだとも思います。私の場合は、自分が 「ぜひこういう演奏がしたい」 と思う奏者達は皆、タングブロックを主に使う人ばかりだったので、「そこには絶対に何かあるはずだ」 と思って、タングブロックを取り入れることを決めました。
flower 発言,
2009/07/12 に 4:28 pm
真摯なコメントありがとうございます。
そうですよね。
そうなんですよね。
ありがとうございます。