11.05.09

心に響く音楽

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ以外 に 3:39 pm : Yuki

良くない事って、どうしてこう立て続けに続くのでしょう。ただでさえ心の重い日が続いているというのに、最近は 「泣きっ面に蜂」 みたいなことが多すぎ・・・。

友達の死の知らせを受けました。かなり年配の友人で、体調が思わしくないのは知っていましたが、それにしても早すぎたと感じずにはいられません。

彼のお葬式で、私はピアノを弾きました。クラシック音楽を愛好していた彼は、私のリサイタルにはいつも来てくれて、「自分の葬式ではぜひシューベルトを弾いてほしい」 と光栄にも言ってくれていたのでした。こんなに早くその日が来るとは夢にも思わなかったけれど、無事に約束を果たすことができて少し安心しています。

私はもうかれこれ30年ほどクラシック音楽をピアノで弾いていて、その期間はブルースを弾いて来た期間よりもずっと長いことになります。それでたまに、「クラシックをやって来た人がブルースを学ぶのって大変だったんじゃない?」 と聞かれることがありますが、クラシック以外の音楽もずっと聞いてきたので、そういう面 (リズムの感じ方とかフィーリングなど) で苦労したと感じたことはありません。他の面で苦労したことはもちろん山ほどありますが・・・。クラシックもブルースも、根本的なもの - 心に響く音と音楽を求めるということ - は同じだと思います。

お葬式ではシューベルトの即興曲を弾きました。大好きな曲です。シンプルで一見簡単そうですが、すべての音をコントロールするのと全体の構成を考えてまとめるのがけっこう大変で、上手く弾くのは難しい曲だと思います。

More Brendel: Schubert Op. 90/3

ビデオのピアニストは、アルフレッド・ブレンデル。私はブレンデルの演奏ではシューベルトが一番好きで、シューベルトの演奏はブレンデルによるものが一番好きです。

10.31.09

恥を忍んで・・・

カテゴリー: ハープ日記 に 9:35 am : Yuki

先日のフェスティバルでのビデオが YouTube にアップされていました。こうして録音されたものを聞いてみると、夫より上手かったとか音が良かったとかいうことはやはりあり得なかったのだと思い知ります。くそー。

けっこう気持ちよく盛り上がって吹いていたのですが、改めて聞いてみると 「え?こんなだったの?」 という部分もかなりあり・・・。良い思い出は思い出のままそっとしておくのが賢明なのかもしれません (笑)。そんな感じで、反省点が山積みなのでアップしようかどうか迷ったのですが、アダム (Adam Gussaw) のサイトのフォーラムにも載せられていたし、msakai さんにも早々と発見されてしまったので、観念してこちらでも紹介することにしました。 お暇な方はどうぞ。

National Harmonica League 2009 – Friday Night Jam – John and Yuki

私は5thポジションでやっています。ビデオは途中で切られていますが、この後私のピアノがあり、夫がまたソロを取って終わりました。ギターはリー・サンキー (Lee Sankey)。演奏前に夫と話をしていて、「ぜひギターを弾きたい」 と参加してくれたのであります。感謝。

10.26.09

ハーモニカ熱再び

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ・プレイヤー tagged に 9:02 pm : Yuki

年に一度ブリストルで行われるハーモニカ・フェスティバルに参加してまいりました。いつもなら数週間前からわくわくと楽しみにしているところですが、最近私生活がかなり大変なことになっていてハーモニカから遠ざかっていたので、実は今年はあまり乗り気ではなかったのです。「まあせっかくだから顔だけでも出すか・・・。」 くらいの気持ちで出向いたのですが、1年ぶりに会うハーモニカ仲間と話をしたり、ゲストのリー・サンキー (Lee Sankey) の姿を見たりしているうちに、どんどん気持ちが盛り上がってきました。初日はジャム・セッションで、当初は全く演奏する気はなかったのですが、ついつい調子に乗ってジャムに参加してしまったのでありました。

ジャムでの演奏は、2ヶ月近く全くハーモニカに触っていない身としては、なかなかの出来だったと思います。というか、夫や友人などこれまでの私の演奏を見てきた人達はみんな、「今まで最高の演奏だった。」 と褒めてくれました。夫と一緒に一曲やったのですが、中には私の方が上手かったとか音がよかったなどと言ってくれた人もいて、すっかり嬉しくなってしまったのであります。しかし今回は、自分の音がよく聞こえたとか、機材のセッティングが私の音に合っていたとか、バンドがすごくよく反応してくれたとかいう幸運あってこその演奏で、「どんなシチュエーションでも安定した演奏ができる」 というレベルでは全くありません。それでも、「(毎回とは行かないけれど) かなり良い演奏をすることもできるのだ」 という自分の可能性を知ることができたのは、これからハーモニカを続けていく上での大きな糧となると思います。

もうひとつ嬉しかったのが、聞いていた人はみんな、私がセカンド・ポジションでやっていると思ったということです。今回は夫がEの曲をやりたいと言ったので、Cハープしか使わない私はフィフス (5th) ・ポジションを使ったのですが、後で聞いてみたら気付いた人はいなかったようです。私の目標はあくまで、「様々なポジションを使いつつトラディショナルなテイストを持ったブルースを演奏する」 ということであって、色々なポジションでの演奏をひけらかす目的でCハープのみを使っているわけではないのです。なので、良い演奏だったと褒めてくれた人がセカンド・ポジションだと思ったというのは、5th でもかっこよくブルースができるのだということを自分に証明できたようですごく嬉しいです (なぜ私がCハープしか使わないのかということはこちら>一本勝負!)。

lee-sankey

というわけで、久々にハーモニカ熱が戻ってまいりました。ワークショップやコンサートはもちろん楽しいしためになるのですが、私がこのフェスティバルで好きなのは、一日のプログラムが終わった後の集いです。ホテルのバーで久々に会う仲間と親交を深めたり、ゲストと話をしたり、深夜までみんなでジャムをしたり。今年は、リー・サンキーと話ができたことが一番の収穫だったと思います。数年前に別のフェスティバルでワークショップとコンサートをやっているのを見た時は、実はあまり心を動かされなかったのですが、今回は時間があって彼の色々な話が聞けたのが嬉しかったです。とてもオープンで正直で聡明で精力的な人という印象を受けました。個人的には、その頭の良さが演奏に現れすぎてしまう場面が時々あると感じるのですが、もちろん素晴らしいプレイヤーです。

Lee Sankey – slow blues clip
Lee Sankey solo harmonica blues piece entitled “Work’n”

08.10.09

ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その2 (貧乏音楽家的生活)

カテゴリー: ハープ日記 tagged , に 10:59 am : Yuki

今日は、貧しいミュージシャンの生活の様子を少し書いてみたいと思います。音楽とは直接関係のない話なので何の役にも立ちませんが、同じような貧乏音楽家的生活を送っている方の慰みくらいにはなるかもしれません。

今回のジョーのコンサートは、ブリストルから車で3時間ほどの街で行われました。コンサートが終わるのは深夜なので、一泊して旅の疲れを癒し、次の日にゆっくりと帰るというのが理想だったのですが、この週末は、翌日もそのまた翌日も、遠方でのギグが入っていたのです。それで、楽器やアンプなどのエキップメントを車に積み込んで出発し、ジョーのコンサートの後は一泊して、その翌日は家に帰らずに、ジョーとランチをした後、まっすぐギグをする街へ行き、そこでまた一泊して、その翌日に別の街でもう一本ギグをして家に帰るというスケジュールを立てたのでした。

私のような貧乏音楽家は豪奢なホテルに泊まる余裕などもちろんなく、いつもは安めのホテルやB&Bを利用するのですが、今回滞在した2つの街はどちらも観光地で、しかも今はサマー・ホリデー・シーズン真っ盛り、その上週末だったということもあって、一番安いホテルでもかなりの値段だったのです。それでどうしたのかというと、久しぶりにバックパッカーを利用しました。バックパッカー、つまりホステルです。とは言っても個室がとれたので、ホステルとしてはかなり優雅(?)な滞在ではあったのですが。

baggies

さて、泊まる場所はかろうじて確保したとはいえ、次に問題となったのが、ギグの機材。イギリスでは (日本でもあることなのかもしれませんが。) 駐車している車から物が盗まれるということが決して珍しいことではないので、車の中には絶対に機材を残したくない。ということで、機材をホステルの部屋まで運ぶことにしました。そして、こういう時に限って、部屋は最上階と決まっているんですね。重いアンプやピアノを持って、6つある階段をぜええぜええ言いながら上ったですよ。全部で4往復はしました。荷物とギグの機材を運んだら、小さな部屋は既にいっぱい。ちなみに2日目は、ギグの会場の方が、親切にも機材を翌日まで預かってくれたので助かったのでした。感謝。

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ベッドと洗面台とデスクが置いてあるだけの小さな部屋。トイレとシャワーはもちろん共同。こういう宿に泊まる時に私の頭をよぎるのが、「シャワーのお湯が出るだろうか?」 ということなのですが、今回は、一つ目の宿はちょろちょろながらもきちんとお湯が出て、二つ目の宿は案の定、冷水シャワーでした。シーツも布団や枕のカバーもご自分でどうぞ、という感じで放置されています。でも私はこういう時、「洗濯されたシーツとカバーがあるだけまだまし」 と思ってしまうんですね。私は若い頃に、ヨーロッパ諸国をうんと過酷な旅をして回ったのです。見るからに洗濯されていないであろうシーツ、ワラジムシが歩いているベッド、水の流れないトイレ、電気が点かない廊下やトイレ、真冬なのに暖房の利かない部屋、朝までこうこうと電気をつけて大声で話す人達とのルーム・シェア、3週間パンとチーズだけという食事、暴風雨の中、びしょ濡れになりながらテントを張ってするキャンプ・・・そんなのに比べたら、今回の洗濯済みのシーツと洗面台付き個室なんて上等です。旅行に限らず、「あれに比べたらまだまし」 と思うような経験が私の人生にはいくつかあって、ひどい経験をするというのも時には役に立つものだと思います。

長時間のドライブ、ギグ、機材運び、スプリングが身体に当たるベッドと騒音による寝不足のおかげで、家に帰りついた時はどろどろに疲れておりました。貧乏音楽家はこうしてお金を節約して、ライブのチケットやCDやDVD、1本3万円弱するジョー・スパイアーズのカスタム・ハーモニカを買うお金を貯めたり、フェスティバルやワークショップに参加する費用を貯めたりしているのであります。

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ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その1

08.06.09

アンサンブルの楽しみ ・ その2 (ブルース・ミュージシャンとしての技量)

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ・プレイヤー tagged , , に 11:46 am : Yuki

先日のジョー・フィリスコのコンサートでは、サポート・バンドの演奏が2つありました。どちらも地元の若いバンドです。流れとしては、ウィル・ワイルドというハーモニカ・プレイヤーが率いるバンドがまず演奏して、次にジョーが1時間ほどアコースティック・ソロの演奏をし、その後、もうひとつのバンドの演奏があり、最後にこのバンドにジョーとウィル・ワイルドが加わって、セッションで締めくくるというものでした。

ジョーに会うために開場前に中に入っていた私は、サウンドチェックの様子を見る機会があって、実はどちらのバンドにもあまり期待していなかったのです。でも本番では、このウィル君という若きハープ・プレイヤーのバンドは、とても良い演奏をしていました。ヴィブラートの音や、あまりにも露骨にパッカーを押し出したアプローチが私の好みではないのですが、このような演奏が好きだという人がいるのは理解できるし、そういった評価に値するプレイヤーだと思います。このバンドは普段はエレクトリック・ギターを使うらしいですが、今回はアコースティック・ギターでの演奏でした。おそらくジョーのサポートであるということを考慮しての選択で、そういうセンスの良さや柔軟性にも感心します。そして何より私の気に入ったのが、ウィル君がきちんと他のミュージシャンとのセッションができるということです。サウンドチェックを聞いていた際は、「ハーモニカが一人よがりに吹きまくるマスターベーション的演奏になるのではないか」 という予感がしたのですが、本番ではギターがソロを取る場面ではすっと引いて上手くバックアップしていたし、最後のセッションでも、ジョーとかぶらないように音量をコントロールしたり、ハーモナイズしたり、引くところでは引いて出るところではしっかり出るという演奏をしていました。彼はまだ20歳だそうで、先が楽しみです。
Will “Harmonica” Wilde (myspace)

w_wilde

ウィル君のバンドと正反対だったのが、もうひとつのバンド。音楽はもちろん、ファッション、歩き方、話し方、演奏中の身体の動きから、ローリング・ストーンズ (特にミック・ジャガー) の影響を受けているのが一目瞭然。ストーンズが悪いというのではもちろんないですが、音楽よりファッションや身のこなしが先走っているというその感じと、サウンドチェックの音から、「この人達、ブルースのセッションができるんだろうか」 という嫌な予感が頭をよぎりました。そして本番、予感的中。バンドの演奏自体は、私の好みでは全くないにしろ、まあこういうのもありかな、とは思いましたが、ジョーが加わってのセッションは、てんで話になりませんでした。ジョーがどんなソロを吹いていようが全くおかまいなしで、勝手に弾きまくって勝手に盛り上がって行くバンド。ジョーの音など聴いていないのが、見ていて明らかです。ウィル君のバンドを最後にしてセッションをした方が絶対に良かったのに、と残念に思いました。

ブルース・ミュージシャンとしての技量が本当に問われるのは、セッションにおいてだと思います。ブルースというランゲージを使ってコミュニケーションを取ることができなければ、それはもはやブルースではないと思うのです。その良い例 (悪い例と言った方がいいのか。) が、リトル・ウォルターがロックの殿堂入りをした時のセレモニーでの演奏。ハーモニカがジェームス・コットンというのはこの晴れ舞台にふさわしい適役だと思いますが、彼以外のバンドの演奏が、どう見てもブルースを知っている演奏ではないのです。”Juke” はコットンとバンドがばらばら。ブルースなんて12小節の枠を繰り返し演奏してればいいんだろう、というバンドの感じが見え見えで、コットンのソロに反応することなどもちろんありません。ブルースを演奏し慣れた人なら、(たとえリハーサルなしのセッションだったとしても) ここでコットンがやりたいことは実に明快なはずですが、このバンドにはコットンの意思が全く伝わっていません。コットンが、「おい、合わせろよ」 という感じでバンドの方をちらちらと何度か見ていますが、それも見事に無視。そんなだから、最初から最後までコットンとバンドが4小節ずれていても気づかないという事態になるのです (終盤でコットンがかろうじて合わせていますが)。そして、”My Babe” はギターが張り切りまくり、弾きまくりで、もううるさいったらないです。

リトル・ウォルターがロックの殿堂入りしたのは (おそらく) 喜ぶべきことですが、このセレモニーはひどかった。冒頭のエリック・クラプトンのリトル・ウォルターについての見解も全く的はずれだし (”crude” という言葉は他のブルース・プレイヤーに当てはまることはあっても、リトル・ウォルターには当てはまらない、というか、むしろその全く逆だと思います)。リトル・ウォルターもジェームス・コットンもなんだか気の毒ですね。このクリップを見る度に、頭が痛くなる私です。
Little Walter’s induction into the R&R Hall of Fame

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アンサンブルの楽しみ ・ その1

08.03.09

ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その1

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ・プレイヤー tagged に 5:08 pm : Yuki

週末、ジョー・フィリスコ (Joe Filisko) のコンサートがあったので、ちょっと遠出をして会いに行ってまいりました。ジョーは3年前にブリストルのハーモニカ・フェスティバルに来た時に、一度お会いしています。うちの夫はこの時、ジョーの演奏にひどく心を動かされ、それ以来、心の師として仰いでおります。ジョーも夫の演奏を気に入ってくれたので、会う回数は少ないとはいえ連絡を保ち続け、今回も事前に電話で話をして、コンサートの前と翌日に食事でもしようと言っていただいたのでした。
ジョーの話を聞いていると、「この人は本当に、ハーモニカという楽器を心から愛して、理解しているんだなあ」 としみじみと感じます。ハーモニカに限らず、ブルース全体の歴史についてのジョーの知識は膨大で、話を聞いているだけでとても勉強になりました。私とはちょっと考え方が違うな、と賛同しかねる点も少しありましたが、一意見としては筋が通った尤もな考えだとも思いました (これについてはジョー自身も、人によって意見が分かれるところだろうと言っていました)。

実は私はブリストルのフェスティバルでは、ギグが入っていたため、ジョーのコンサートは見逃してしまったのです。ワークショップではその演奏を聞いたものの、きちんとしたコンサートは今回が初めてで、(夫の太鼓判もあり) とても楽しみにしていました。
どきどきわくわくしながらの一曲目。なんと、「この曲は、ブリストルから来てくれたジョンとユキのために演奏します。」 と言ってくれたのでした。うおーん (泣)。そんなこと言われたら泣いてしまう。しかも使ったのは夫が贈ったハーモニカで、演奏後に、「これは、ジョンがプレゼントしてくれた素晴らしいハーモニカです。」 とまで言っていただいて、更に感動。今年の春から本格的にカスタム・ハーモニカとリペアの仕事を始めた夫は、カスタム・ハープの本家本元であるジョーの意見が聞けたらと、この日のためにハーモニカを一本カスタマイズしてプレゼントしたのです。この贈り物はとても喜んでもらえ、気に入ってもらえて、コンサートでは数曲の演奏に使っていただきました。よかったよかった。

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ジョーのアコースティックの演奏は、ハーモニカという楽器と、その奏法を発展させて来た奏者達への愛情と尊敬と謙虚さに溢れています。ものすごいテクニックを持った人ですが、彼の演奏を聞いているとそういうことはあまり気に留まらなくて、ただただ音楽の素晴らしさを体感するのみです。聞いていて鳥肌が立ってしまう。特にトレインの曲はすごかったです。トレイン・サウンドを使った曲は多くの人が演奏していますが、こんなに素晴らしい演奏を聞いたのは初めてでした。
コンサートの終盤ではバンドとのセッションがあり、アンプリファイドの音も聞けてとても幸せでした。この人は、マイクを握ると豹変するという印象があります。アコースティックの演奏とはうって変わって、ダーティーでダークな音で攻めるジョー。はああ、かっこいい。セッションでは地元のハープ・プレイヤーが加わって、彼がアンプリファイド、ジョーがアコースティックで演奏していたのですが、最後にマイクを借りて、ジョーもアンプリファイドで演奏することになったのです。ジョーがマイクを持った瞬間、「ジョーがアンプを使って演奏する!!!」 と興奮してしまった私であります。後で夫に、「ジョー・フィリスコがアンプリファイドで演奏するからと興奮する妻を持つ人は、たぶんあまりいないと思う。」 と言われてしまったのでした。それは確かにそうかもしれない。

近々リリースされる予定のジョーのニュー・アルバムのコピーを一足早くいただいたこともあり (ジョーから夫へのプレゼントでした。)、しばらくはジョー・フィリスコの世界にはまりそうです。

jf_shirt

写真はいただいたTシャツ。私にはちょっと大きいのですが、とってもうれしい。大切にします。

07.28.09

アドリブにおける構成力

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ・プレイヤー tagged に 12:24 am : Yuki

昨晩から、デニスのコピーを始めました。このところピアノ・モードに入っていた頭をハープ・モードに戻すためにデニスの映像を見ていて、コピーしたくなってしまったのです。
dennis gruenling w/ doug deming

私がデニスを好きなのは、分厚く多彩な音色とか、トラディショナルなものと新しいものを融合したスタイルとか、ステージ上の存在感とか、他のプレイヤーとのアンサンブルの上手さとか、髪が長くて声が素敵でせくしぃなところとか (違)、いろいろな理由がありますが、ソロの構成力もかなり大きな要因です。デニスはアドリブ重視で演奏するプレイヤーですが、彼のソロは見事な構成を持っていることが多いと感じます。前のフレーズを発展させて次につなげて行くアプローチとか、ホーン・セクションのようなリフを取り入れたりとか、絶妙なタイミングで取り入れるスペースとか、とにかく音楽的に説得力があります。吹けるリフやリックをつなぎあわせるだけの細部しか見ないアドリブではなくて、全体としてしっかりとした構成を持ったアドリブをする人です。あらかじめ計画してではなくて、アドリブでやってのけるところがすごいですよね。こういうアプローチは私の理想にすごく近いです。

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さてこの曲、昨晩イントロをコピーして、今日は7コーラスあるソロをコピーしました。音取りにかかった時間は、イントロに20分、ソロに60分くらい。ソロはだいたいの音取りが終わった後、すらすらと吹けるようになるまでに更に1時間弱かかりました。こういうスウィンギーな曲は、去年の秋頃に、キム・ウィルソンやゲイリー・プリミチなどのコピーをして集中してやったのですが、その頃に比べたら (あくまで私としてはということですが) ものすごい進歩です。当時は1曲ざっと吹けるようになるまでに3日はかかっていましたから、「普段はあまり気がつかないけれど、少しずつ上達しているんだなあ」 とちょっと嬉しかったのであります。といっても、全ての音をテンポで止まらずに吹けるようになったというだけで、細かいニュアンスはこれから磨いていかなくてはならないのですが (そしてこれがコピーの一番大切な部分で、難しい部分なんですよね)。

07.25.09

Have mercy!

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ以外 tagged に 6:26 pm : Yuki

このところ、頭がピアノ・モードに入っていて、ハーモニカの練習がちょいとおろそかになっておりました。最近、自分の演奏に飽きるというか、つまらないと感じることが多くなったので、「これはいかん」 と思い、まき小屋でまきを割ってきたのでした。その甲斐あってか昨晩のギグは、ほんの薄い皮ですが、一皮剥けた気がします。ギタリストも昨日は輪をかけて調子が良くて、いつもとは違う新しいアプローチでソロを弾いていたので、それに煽られたこともあり、新鮮なアドリブができました。しかし、ギグが終わった後に話していたら、彼も昨晩は私に対して全く同じことを思っていたということが明らかになり、笑えたのであります。お互いに煽り、刺激しあっていたわけですね。こういうことがあるから、バンドって楽しいです。

さて、ピアノ馬鹿の私が、座右の銘 (?) としていつも心に留めている演奏のひとつが、こちら。
Otis Spann – T’Aint Nobody’s Business If I Do

シカゴ・ブルースのピアニストでは一番好きなオーティス・スパン。サイドマンとしても最高の演奏をする人ですが、フロントマンとしても素晴らしいです。このパフォーマンスは見るたびに泣けてきちゃいます。ピアノも良し、歌も良し。ブルースに必要なものすべてがここにある気がする。ブルースって、こういうふうに演奏されるべきなんだよなあ、まったく。

otis_spann

というわけで、ハーモニカも練習してはいたのですが、現状を維持するための基礎練習をするのが精一杯で、進歩はあまりありません。まあ、パッカーとオーバー・ブロウ / ドローがちょっと上手くなったかなという気はしますが・・・。もうちょっと真面目に練習して、次回こそはハーモニカについての記事を書きます。

07.21.09

アンサンブルの楽しみ ・ その1

カテゴリー: ハープ日記, ハーモニカ以外 に 10:37 pm : Yuki

うちのバンドでは、私がピアノとベースを担当しています。キーボードをスプリット・モードにして、左手でベース、右手でピアンを弾くわけです。近年のロッド・ピアッツァのバンドと一緒ですね。彼のバンドは以前はベーシストがいたのですが、聞いたところによると (真相はわかりません。)、金銭的にきつかったので、ベーシストを手放さなくてはならなかったのだそうな (泣)。うお~!!そんなのってあり?天下のロッド・ピアッツァですよ (号泣)!!ここはひとつ、ロッドの新譜の日本盤解説を書かれている大野木さんにがんばっていただいて、日本の皆さんにロッドの素晴らしさを伝えていただきたいと思います。

私の場合は、うちのバンドを結成した時にベーシストだけが見つからなくて、とりあえず私が弾いていたのですが、そのまま現在までだらだらと来てしまったという成り行きベーシストです。何度かベーシストのオーディション (などというご大層なものではなかったのですが。) もしたのですが、どうもしっくりこないし、5人より4人の方がギグやリハーサルの予定も立てやすいし (みんなそれなりに忙しいので。) 、一人当たりのペイも良いということで (結局金か。)、今はこの編成ですっかり落ち着いています。

左手でベースを弾きながらだと、音域、使うテクニック、演奏のアプローチなど、ソロの演奏がやはり幾分限られてしまいます。たまにベーシストのいるバンドとセッションすると、「ああ、左手が自由だとこういうこともできるんだ」 と改めて感じたりして、「やっぱりベースがいるっていいよなあ」 と思うこともあるのですが・・・でも、なんだかんだ言って、私はベースを弾くのが好きなんですよね。ベースはバンドの柱のような存在です。ピアノやハーモニカでバンドのセッションに参加する時、曲の構成を掴むのに私がいつも頼りにするのは、ベースの音です。他の人の音ももちろん聞きますが、一番頼りになるのはベース。ドラムと一緒になって曲のグルーヴと 「枠組み」 を作り、その上で他の楽器を自由に遊ばせるというのは、なんとも言えない満足感と緊張感があります。

さて、前置きが長くなりましたが、本題です。先週末は友達のバンドのギグがあったのですが、いつものベーシストが参加できないということで、私がお手伝い参加しました。本番の2週間ほど前に、バンドの持ち曲27曲が入ったCDを渡されていたので、それを聞き込んでしっかりとお勉強して行きました。知っている曲も多かったのですが、自分では演奏したことがない曲がほとんどだったので、「この曲は普通 ( I IV V ) の12バーだとばかり思っていたけど、ツーファイブ ( II V ) だったんだ」 などと、普段いかにいい加減に聞いているかということが明るみになり、とてもよい勉強になったのでした。ドラマーが何度も一緒にやったことのある人だったこともあって、本番までの2回のリハーサルでバンドの感じも楽に掴むことができ、当日を楽しみにしていました。新しい曲を新しい人達と演るというのは、自分のバンドとは一味違った楽しさがあります。ああ、アンサンブルの楽しみ。

そして当日、本番前のサウンド・チェックが終わり、景気付けの一杯をやりながら (私は演奏前と演奏中は飲まないことにしているので、ジュースで参加。)、バンド・メンバーとあれやこれやと話していた時のこと。ステージで私から一番遠い位置にいたリズム・ギターの人に、「私の音、そっちまでちゃんと聞こえてる?」 と聞いてみました。何か問題があれば、サウンド・チェックの時にサウンドマンに言っているだろうとは思いつつ、念のため。すると、帰ってきた言葉が・・・

「いや、聞こえてない。でもあんまり重要な問題じゃないから、大丈夫だよ。」

「問題じゃない」 って!そんな~。あ、あんさんぶるのたのしみはいづこに・・・。
確かに会場やステージのセッティングによっては、自分の音や他の人の音が全てバランスよく聞こえないことも多いわけで、そういう時でもそれなりの演奏ができる力というのは必要だとは思います。でも、サウンド・チェックの時は、ステージ上の音と客席の音を、時にはどこかで妥協しながらも、できるだけ最高のものにしようと努力するものではないの?

結局、私からサウンドマンに頼んで、キーボードのアンプの位置を変えてもらったのですが、なんだかがっくりしてしまいました。ギグはまあ楽しかったのですが、他の奏者の音を聞かずにするアンサンブルの意味って何なのでしょうね?みなさま、人の音もぜひ聞きましょうね。

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アンサンブルの楽しみ ・ その2 (ブルース・ミュージシャンとしての技量)

06.26.09

パッカー

カテゴリー: テクニック, ハープ日記, 音色 に 2:30 pm : Yuki

最近、集中して行っているのが、パッカーの練習。何を今更、という感じもしますが、実は私はパッカーの演奏が大の苦手なのです。普段は全てタング・ブロックで演奏するので、たまにパッカーで吹いてみると、うわっ何これ!というお粗末な演奏になります。これまでタング・ブロックのみの演奏に不自由を感じたことはなかったのですが、訳あって、パッカーももうちょっとましにできるようになろうと心に決めたのでした。その訳というのは、オーバー・ブロウ / ドローを演奏に取り入れようと思い始めたことにあります。私は、オーバー・ブロウ / ドローがまだ、タング・ブロックでできないんですね。練習はしているのですがなかなかできなくて、これは時間がかかりそうだということで、とりあえずはオーバー・ブロウ / ドローを使う時はパッカーに切り替えようと決めたのであります。

プロの人はだいたい、パッカーとタング・ブロックをミックスして演奏していることがほとんどだと思いますが、ジョー・フィリスコやデニス・グルンリングなど、ほぼ100%タング・ブロックを使う人もいます。デニスに憧れてハープを始めた私としては、彼の言葉を信じて (笑)、タング・ブロックこそがブルース・ハープの道だ!というような感じでこれまで練習して来てました。今でもそういう思いは少なからずあって、タング・ブロックを多く使うプレイヤーの演奏の方が、音色もその演奏のアプローチも、好みだと感じることが多いです。しかし、デニスやジョーの様にタング・ブロックでオーバー・ブロウ / ドローができるようになるにはまだまだ時間がかかりそうだし、それまではひとつパッカーでやってみようじゃないか、ということにしたのです。以下、練習の覚え書きです。

まずはトーン (音色) 作り。良いトーンが出せなければ何も始まらない、ということで、いつものスケールをパッカーで練習。ううっ。トーンがかなり貧弱。特にベンド音。口の先をすぼめてストローで飲み物を飲む時のように 「チュー」 という感じで吸うという、薄い音にならないためには死んでも避けたいやり方でベンドをしそうになってしまう。いかーん!!そこで、タング・ブロックに切り替え、同じ音を吹いて、正しい身体の使い方を確認。そうそう、ここなのよねー。口の形は変えないで、喉のこのあたりを下げる感じで、この部分で発音するようにベンドするのよねー。と確認して、今度はそれを再現するようにパッカーで吹いてみます。こうして、タング・ブロックで見本を示して (自分で自分に見本を示すというのも変な話ですが。)、パッカーで再現するのというのを繰り返し練習して、良いトーンでスケールが吹けるようにします。まあ、なんとも面倒な練習であります。

タング・ブロックだとベンドがしにくいと言う人もいますが、私は、正しい身体の使い方でのベンドを学ぶには、タング・ブロックはとても役に立つと思います。パッカーだと口先でベンドをするという間違いを犯してしまうことは簡単ですが、タング・ブロックだと舌と口がハーモニカに固定されるため、嫌でも口先以外の場所を使ってベンドをしなくてはならなくなります。舌をハーモニカにつけ、口を大きく開くことによって、口の奥や喉が開きやすくなるので、ナチュラル音 (ベンドしない音) のトーンも良くなることが多いです。「すべてタング・ブロックで演奏するべきだ」 とは言いませんが、トーンやベンドのテクニックを改善したいと思っている方は、試してみる価値は大いにあると思います。

さて、スケールがだいたいできるようになったら、次はタング・ブロックとパッカーの切り替えの練習。スケールを、タング・ブロック→パッカー→タングブ・ロック→パッカー・・・と、一音ごとに切り替えて練習。トップの音まで行って戻ってきたら、次は同じスケールをパッカーから始め、パッカー→タングブ・ロック→パッカー・・・と練習。これもまた面倒ですが、効果はありです。

更に、私がいつもタング・ブロックで練習する基礎練習のひとつ、タング・スラップとコード・リズムを織り交ぜたブギ・パターンを、パッカーで練習。ビッグ・ウォルター様がよく使うテクニックです。これを、12バーの構成でやります。ウォルター様はタング・ブロックを使っていますが、それに近いサウンドをパッカーで作り出すようにがんばるのです。良いトーンで吹けているか、きちんとアーティキュレートできているか、ベンド音のピッチは正確か、などとひとつひとつ確認できるゆっくりのテンポからはじめて、少しずつテンポを上げていきます。

これらの練習を始めてから今日で5日目くらいですが、だいぶ自然にパッカーの演奏ができるようになってきました。私は使うポジションが多いので、スケールもブギ・パターンも、全てのポジションでやると、かなりの量になります。パッカーの練習の他に、毎日の日課であるタング・ブロックでの練習も普通にするため、最近は基礎練習だけでものすごく時間がかかってしまいます。でもそのおかげで、この頃は曲をやってもなかなか調子が良いです。楽器の演奏はスポーツのように、日々の体作りがものを言うというところがあると思います。

オーバー・ブロウ / ドローを演奏で使うことについても書く予定でいたのですが、思いのほか長くなったので、次回にしたいと思います

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