10.26.09
ハーモニカ熱再び
年に一度ブリストルで行われるハーモニカ・フェスティバルに参加してまいりました。いつもなら数週間前からわくわくと楽しみにしているところですが、最近私生活がかなり大変なことになっていてハーモニカから遠ざかっていたので、実は今年はあまり乗り気ではなかったのです。「まあせっかくだから顔だけでも出すか・・・。」 くらいの気持ちで出向いたのですが、1年ぶりに会うハーモニカ仲間と話をしたり、ゲストのリー・サンキー (Lee Sankey) の姿を見たりしているうちに、どんどん気持ちが盛り上がってきました。初日はジャム・セッションで、当初は全く演奏する気はなかったのですが、ついつい調子に乗ってジャムに参加してしまったのでありました。
ジャムでの演奏は、2ヶ月近く全くハーモニカに触っていない身としては、なかなかの出来だったと思います。というか、夫や友人などこれまでの私の演奏を見てきた人達はみんな、「今まで最高の演奏だった。」 と褒めてくれました。夫と一緒に一曲やったのですが、中には私の方が上手かったとか音がよかったなどと言ってくれた人もいて、すっかり嬉しくなってしまったのであります。しかし今回は、自分の音がよく聞こえたとか、機材のセッティングが私の音に合っていたとか、バンドがすごくよく反応してくれたとかいう幸運あってこその演奏で、「どんなシチュエーションでも安定した演奏ができる」 というレベルでは全くありません。それでも、「(毎回とは行かないけれど) かなり良い演奏をすることもできるのだ」 という自分の可能性を知ることができたのは、これからハーモニカを続けていく上での大きな糧となると思います。
もうひとつ嬉しかったのが、聞いていた人はみんな、私がセカンド・ポジションでやっていると思ったということです。今回は夫がEの曲をやりたいと言ったので、Cハープしか使わない私はフィフス (5th) ・ポジションを使ったのですが、後で聞いてみたら気付いた人はいなかったようです。私の目標はあくまで、「様々なポジションを使いつつトラディショナルなテイストを持ったブルースを演奏する」 ということであって、色々なポジションでの演奏をひけらかす目的でCハープのみを使っているわけではないのです。なので、良い演奏だったと褒めてくれた人がセカンド・ポジションだと思ったというのは、5th でもかっこよくブルースができるのだということを自分に証明できたようですごく嬉しいです (なぜ私がCハープしか使わないのかということはこちら>一本勝負!)。

というわけで、久々にハーモニカ熱が戻ってまいりました。ワークショップやコンサートはもちろん楽しいしためになるのですが、私がこのフェスティバルで好きなのは、一日のプログラムが終わった後の集いです。ホテルのバーで久々に会う仲間と親交を深めたり、ゲストと話をしたり、深夜までみんなでジャムをしたり。今年は、リー・サンキーと話ができたことが一番の収穫だったと思います。数年前に別のフェスティバルでワークショップとコンサートをやっているのを見た時は、実はあまり心を動かされなかったのですが、今回は時間があって彼の色々な話が聞けたのが嬉しかったです。とてもオープンで正直で聡明で精力的な人という印象を受けました。個人的には、その頭の良さが演奏に現れすぎてしまう場面が時々あると感じるのですが、もちろん素晴らしいプレイヤーです。
>Lee Sankey – slow blues clip
>Lee Sankey solo harmonica blues piece entitled “Work’n”
10.16.09
Rod Piazza & Dennis Gruenling ・ その2
これはまた嬉しい映像がアップされました。ロッド・ピアッツァ (Rod Piazza) と デニス・グルンリング (Dennis Gruenling) の共演再び。先日紹介したものと同じライブからのようです。音質はあまり良くないですが、この二人の共演はやはり必見だと思います。最後には二人の掛け合いもあり、ロッド・ファン、デニス・ファンにとってはほくほくの映像です。
>Rod Piazza and Dennis Gruenling Baby Please Dont Go
ロッドのバンドにアレックス・シュルツ (Alex Schultz) がいた頃、若き日のデニスは、遠い道のりを運転してロッドのギグを観に通ったのだそうです。デニスにとってロッドは憧れの人の一人だったのだと思います。そんな人にステージに呼ばれて演奏する気持ちってどんななのでしょうね。
デニスは相変わらずせくしぃーでクールですが、ロッドもデニスといい勝負。今年の色男番付はこの二人に決まりそうであります。
10.01.09
Rod Piazza & Dennis Gruenling ・ その1
全国のハープおたくの皆さまこんにちは。すっかりご無沙汰となってしまったこのブログですが、久々の更新です。ご心配のコメントやメールを下さった方々、ありがとうございました。これからも少しずつですが更新していきたいと思います。
さて、今日は、ロッド・ピアッツァ (Rod Piazza) とデニス・グルンリング (Dennis Gruenling) の共演です。
>Rod Piazza & Dennis Gruenling

二人の演奏は相変わらず素晴らしいし、セクシーで素敵 (違)。デニスが吹いている時のロッドの表情やジェスチャーも見ていて楽しい限りです。途中、ロッドが手を叩いている場面がありますが、このハンド・クラッピングがちょっとビハインド・ザ・ビートで、そんなところにも 「へえええ」 と感心してしまった私であります。
実は一ヶ月ほど前から、冗談でも大げさでもなく、人生最大の危機と言えるくらいの辛い日々が続いているのですが、こういうのを見るとやはり元気が出ます。ハーモニカもずっと吹いていないのですが、また始めようかなあ。。。
09.04.09
Dennis Gruenling のニュー・クリップ
デニス (Denni Gruenling) のニュー・クリップがいくつかアップされているのを見つけて、かなりテンション上がってます。上の3つは、今年の David Barrett Harmonica Masterclass での演奏です。このマスタークラスには私のオランダ人の友人も参加したのですが、デニスはやっぱりすごかった、天才だ、と言っていました。

この間ジョー・フィリスコ (Joe Filisko) に会った時、「デニスは現代のプレイヤーの中で、最高のインプロヴァイザーだ。」 と言っていましたが、それに激しく同意。ジェイソン・リッチがデニスのことを、”traditional yet innovative” と表現しているのを読んだことがありますが、それにも激しく同意。この人のアドリブのアプローチは、ハーモニカ・プレイヤーとしてだけではなく、ミュージシャンとして私が目指すものにものすごく近いです。
>Dennis Gruenling w/Rusty Zinn – Shuffle @ Masterclass 2009
>Dennis Gruenling w/Rusty Zinn – Slow Blues @ Masterclass 2009
>Dennis Gruenling w/Rusty Zinn – Swingin Chromatic @ Masterclass 2009
>Dennis Gruenling – Chicago instrumental
かっこいいですねー。素敵ですねー。目がハートになってしまう。
08.30.09
たまには日本のものも・・・
意識して避けているわけではないのですが、このブログでは日本人ハーピストを取り上げることは多くありません。普段読むのは英語のサイトばかりで日本のハープ事情には全く詳しくないことと、ハープ関係の知り合いはほとんどこちら (ヨーロッパとアメリカ) の人だということがあって、やはりこちらの話題が中心になってしまいます。しかし今日はめずらしく、ジャパニーズ・ハープメンのかっこいい演奏を紹介したいと思います。大野木一彦さんとマッドハープ加藤さんのデュオ。十穴祭ブルースフェスティバルというイベントでの演奏だそうです。
大野木さんはこのブログを読んでご丁寧なメールを下さって、それ以来、たまにメールやCDを交換させていただいたり、うちの夫のカスタム・ハープのテスターになっていただいたりしています。数少ない日本人のハープ友達 (と勝手に呼んでいる。) であります。マッドハープ加藤さんも同じくブログを通して知った方で、ブログを相互リンクさせていただいています。
この演奏は、アンサンブルとしてとても上手く仕上がっていると思いました。加藤さんのリラックス感と、大野木さんのハープ (ちょっとキム・ウィルソンを髣髴とさせる) が合わさった感じがよいです。ハーモニカ同士のセッションってやかましくなりがちなのですが、お二人ともバックアップが上手なので、お互いの邪魔にならないように上手く避けあっています。加藤さんの歌も、ちょっとオーティス・スパンみたいな感じで味があって素敵です。
お二人とも、関西を中心に演奏活動やレッスンをなさっています。お近くの方、機会のある方はぜひぜひチェックしましょう。
08.18.09
Rick Estrin at SPAH Annual Convention
毎年アメリカで行われる SPAH (Society for the Preservation and Advancement of the Harmonica) のイベントが今年も終わり、その模様が YouTube に続々とアップされています。特に私の気に入ったのが、こちら。
>Rick Estrin “Gettin Outta Town”

リック・エストリン (Rick Estrin) のソロです。オフィシャルなプログラムの演奏ではなくて、ホテルの一室で撮られたプライベートな演奏。エストリン・ファンならば、ぜひ保存してとっておきたい映像ではないでしょうか。録音・録画をしたのはリチャード・スレイ (Richard Sleigh) 。後ろでうろうろしているのが見えます (笑)。リチャードは去年も自室にブレンドン・パワー (Brendan Power) やデヴィッド・バレット (Dave Barrett) を招いて、セッションしたものを録画して YouTube にアップしていました。オフィシャルなプログラムの合間にも、こうしてハーモニカ三昧。素晴らしきハーモニカおたく達ですね。
08.13.09
楽器の強み
最近、ハープ仲間の間で話題になっていたビッグ・ウォルター (Big Walter Horton) の映像。
>Walter Horton, Floyd Jones – Goin Down Slow
ビッグ・ウォルター様は、私のハープ・ヒーローの一人であります。ハーモニカを練習し始めた頃、「こんなふうに吹けるようになりたい」 と一番の目標としたのが、ウォルター様だったのです。それぞれの楽器にはその楽器特有の強みというものがあって、その強みをどのように最大限に引き出すかということが、優れた奏者の成せる業だと思います。ビッグ・ウォルターの演奏は、初心者の私にもわかるくらい明確に、ブルース・ハープの持つ強みを引き出していると感じました。

私は所詮ピアノ弾きなので、気をつけていないと、ハーモニカの強みというものをあまり考えていない演奏になってしまうことがあります。そして、こうしてウォルター様の演奏を聞いたりして、反省したりするのです。
08.06.09
アンサンブルの楽しみ ・ その2 (ブルース・ミュージシャンとしての技量)
先日のジョー・フィリスコのコンサートでは、サポート・バンドの演奏が2つありました。どちらも地元の若いバンドです。流れとしては、ウィル・ワイルドというハーモニカ・プレイヤーが率いるバンドがまず演奏して、次にジョーが1時間ほどアコースティック・ソロの演奏をし、その後、もうひとつのバンドの演奏があり、最後にこのバンドにジョーとウィル・ワイルドが加わって、セッションで締めくくるというものでした。
ジョーに会うために開場前に中に入っていた私は、サウンドチェックの様子を見る機会があって、実はどちらのバンドにもあまり期待していなかったのです。でも本番では、このウィル君という若きハープ・プレイヤーのバンドは、とても良い演奏をしていました。ヴィブラートの音や、あまりにも露骨にパッカーを押し出したアプローチが私の好みではないのですが、このような演奏が好きだという人がいるのは理解できるし、そういった評価に値するプレイヤーだと思います。このバンドは普段はエレクトリック・ギターを使うらしいですが、今回はアコースティック・ギターでの演奏でした。おそらくジョーのサポートであるということを考慮しての選択で、そういうセンスの良さや柔軟性にも感心します。そして何より私の気に入ったのが、ウィル君がきちんと他のミュージシャンとのセッションができるということです。サウンドチェックを聞いていた際は、「ハーモニカが一人よがりに吹きまくるマスターベーション的演奏になるのではないか」 という予感がしたのですが、本番ではギターがソロを取る場面ではすっと引いて上手くバックアップしていたし、最後のセッションでも、ジョーとかぶらないように音量をコントロールしたり、ハーモナイズしたり、引くところでは引いて出るところではしっかり出るという演奏をしていました。彼はまだ20歳だそうで、先が楽しみです。
>Will “Harmonica” Wilde (myspace)

ウィル君のバンドと正反対だったのが、もうひとつのバンド。音楽はもちろん、ファッション、歩き方、話し方、演奏中の身体の動きから、ローリング・ストーンズ (特にミック・ジャガー) の影響を受けているのが一目瞭然。ストーンズが悪いというのではもちろんないですが、音楽よりファッションや身のこなしが先走っているというその感じと、サウンドチェックの音から、「この人達、ブルースのセッションができるんだろうか」 という嫌な予感が頭をよぎりました。そして本番、予感的中。バンドの演奏自体は、私の好みでは全くないにしろ、まあこういうのもありかな、とは思いましたが、ジョーが加わってのセッションは、てんで話になりませんでした。ジョーがどんなソロを吹いていようが全くおかまいなしで、勝手に弾きまくって勝手に盛り上がって行くバンド。ジョーの音など聴いていないのが、見ていて明らかです。ウィル君のバンドを最後にしてセッションをした方が絶対に良かったのに、と残念に思いました。
ブルース・ミュージシャンとしての技量が本当に問われるのは、セッションにおいてだと思います。ブルースというランゲージを使ってコミュニケーションを取ることができなければ、それはもはやブルースではないと思うのです。その良い例 (悪い例と言った方がいいのか。) が、リトル・ウォルターがロックの殿堂入りをした時のセレモニーでの演奏。ハーモニカがジェームス・コットンというのはこの晴れ舞台にふさわしい適役だと思いますが、彼以外のバンドの演奏が、どう見てもブルースを知っている演奏ではないのです。”Juke” はコットンとバンドがばらばら。ブルースなんて12小節の枠を繰り返し演奏してればいいんだろう、というバンドの感じが見え見えで、コットンのソロに反応することなどもちろんありません。ブルースを演奏し慣れた人なら、(たとえリハーサルなしのセッションだったとしても) ここでコットンがやりたいことは実に明快なはずですが、このバンドにはコットンの意思が全く伝わっていません。コットンが、「おい、合わせろよ」 という感じでバンドの方をちらちらと何度か見ていますが、それも見事に無視。そんなだから、最初から最後までコットンとバンドが4小節ずれていても気づかないという事態になるのです (終盤でコットンがかろうじて合わせていますが)。そして、”My Babe” はギターが張り切りまくり、弾きまくりで、もううるさいったらないです。
リトル・ウォルターがロックの殿堂入りしたのは (おそらく) 喜ぶべきことですが、このセレモニーはひどかった。冒頭のエリック・クラプトンのリトル・ウォルターについての見解も全く的はずれだし (”crude” という言葉は他のブルース・プレイヤーに当てはまることはあっても、リトル・ウォルターには当てはまらない、というか、むしろその全く逆だと思います)。リトル・ウォルターもジェームス・コットンもなんだか気の毒ですね。このクリップを見る度に、頭が痛くなる私です。
>Little Walter’s induction into the R&R Hall of Fame
関連記事:
>アンサンブルの楽しみ ・ その1
08.03.09
ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その1
週末、ジョー・フィリスコ (Joe Filisko) のコンサートがあったので、ちょっと遠出をして会いに行ってまいりました。ジョーは3年前にブリストルのハーモニカ・フェスティバルに来た時に、一度お会いしています。うちの夫はこの時、ジョーの演奏にひどく心を動かされ、それ以来、心の師として仰いでおります。ジョーも夫の演奏を気に入ってくれたので、会う回数は少ないとはいえ連絡を保ち続け、今回も事前に電話で話をして、コンサートの前と翌日に食事でもしようと言っていただいたのでした。
ジョーの話を聞いていると、「この人は本当に、ハーモニカという楽器を心から愛して、理解しているんだなあ」 としみじみと感じます。ハーモニカに限らず、ブルース全体の歴史についてのジョーの知識は膨大で、話を聞いているだけでとても勉強になりました。私とはちょっと考え方が違うな、と賛同しかねる点も少しありましたが、一意見としては筋が通った尤もな考えだとも思いました (これについてはジョー自身も、人によって意見が分かれるところだろうと言っていました)。
実は私はブリストルのフェスティバルでは、ギグが入っていたため、ジョーのコンサートは見逃してしまったのです。ワークショップではその演奏を聞いたものの、きちんとしたコンサートは今回が初めてで、(夫の太鼓判もあり) とても楽しみにしていました。
どきどきわくわくしながらの一曲目。なんと、「この曲は、ブリストルから来てくれたジョンとユキのために演奏します。」 と言ってくれたのでした。うおーん (泣)。そんなこと言われたら泣いてしまう。しかも使ったのは夫が贈ったハーモニカで、演奏後に、「これは、ジョンがプレゼントしてくれた素晴らしいハーモニカです。」 とまで言っていただいて、更に感動。今年の春から本格的にカスタム・ハーモニカとリペアの仕事を始めた夫は、カスタム・ハープの本家本元であるジョーの意見が聞けたらと、この日のためにハーモニカを一本カスタマイズしてプレゼントしたのです。この贈り物はとても喜んでもらえ、気に入ってもらえて、コンサートでは数曲の演奏に使っていただきました。よかったよかった。

ジョーのアコースティックの演奏は、ハーモニカという楽器と、その奏法を発展させて来た奏者達への愛情と尊敬と謙虚さに溢れています。ものすごいテクニックを持った人ですが、彼の演奏を聞いているとそういうことはあまり気に留まらなくて、ただただ音楽の素晴らしさを体感するのみです。聞いていて鳥肌が立ってしまう。特にトレインの曲はすごかったです。トレイン・サウンドを使った曲は多くの人が演奏していますが、こんなに素晴らしい演奏を聞いたのは初めてでした。
コンサートの終盤ではバンドとのセッションがあり、アンプリファイドの音も聞けてとても幸せでした。この人は、マイクを握ると豹変するという印象があります。アコースティックの演奏とはうって変わって、ダーティーでダークな音で攻めるジョー。はああ、かっこいい。セッションでは地元のハープ・プレイヤーが加わって、彼がアンプリファイド、ジョーがアコースティックで演奏していたのですが、最後にマイクを借りて、ジョーもアンプリファイドで演奏することになったのです。ジョーがマイクを持った瞬間、「ジョーがアンプを使って演奏する!!!」 と興奮してしまった私であります。後で夫に、「ジョー・フィリスコがアンプリファイドで演奏するからと興奮する妻を持つ人は、たぶんあまりいないと思う。」 と言われてしまったのでした。それは確かにそうかもしれない。
近々リリースされる予定のジョーのニュー・アルバムのコピーを一足早くいただいたこともあり (ジョーから夫へのプレゼントでした。)、しばらくはジョー・フィリスコの世界にはまりそうです。

写真はいただいたTシャツ。私にはちょっと大きいのですが、とってもうれしい。大切にします。
07.28.09
アドリブにおける構成力
昨晩から、デニスのコピーを始めました。このところピアノ・モードに入っていた頭をハープ・モードに戻すためにデニスの映像を見ていて、コピーしたくなってしまったのです。
>dennis gruenling w/ doug deming
私がデニスを好きなのは、分厚く多彩な音色とか、トラディショナルなものと新しいものを融合したスタイルとか、ステージ上の存在感とか、他のプレイヤーとのアンサンブルの上手さとか、髪が長くて声が素敵でせくしぃなところとか (違)、いろいろな理由がありますが、ソロの構成力もかなり大きな要因です。デニスはアドリブ重視で演奏するプレイヤーですが、彼のソロは見事な構成を持っていることが多いと感じます。前のフレーズを発展させて次につなげて行くアプローチとか、ホーン・セクションのようなリフを取り入れたりとか、絶妙なタイミングで取り入れるスペースとか、とにかく音楽的に説得力があります。吹けるリフやリックをつなぎあわせるだけの細部しか見ないアドリブではなくて、全体としてしっかりとした構成を持ったアドリブをする人です。あらかじめ計画してではなくて、アドリブでやってのけるところがすごいですよね。こういうアプローチは私の理想にすごく近いです。

さてこの曲、昨晩イントロをコピーして、今日は7コーラスあるソロをコピーしました。音取りにかかった時間は、イントロに20分、ソロに60分くらい。ソロはだいたいの音取りが終わった後、すらすらと吹けるようになるまでに更に1時間弱かかりました。こういうスウィンギーな曲は、去年の秋頃に、キム・ウィルソンやゲイリー・プリミチなどのコピーをして集中してやったのですが、その頃に比べたら (あくまで私としてはということですが) ものすごい進歩です。当時は1曲ざっと吹けるようになるまでに3日はかかっていましたから、「普段はあまり気がつかないけれど、少しずつ上達しているんだなあ」 とちょっと嬉しかったのであります。といっても、全ての音をテンポで止まらずに吹けるようになったというだけで、細かいニュアンスはこれから磨いていかなくてはならないのですが (そしてこれがコピーの一番大切な部分で、難しい部分なんですよね)。