11.05.09
心に響く音楽
良くない事って、どうしてこう立て続けに続くのでしょう。ただでさえ心の重い日が続いているというのに、最近は 「泣きっ面に蜂」 みたいなことが多すぎ・・・。
友達の死の知らせを受けました。かなり年配の友人で、体調が思わしくないのは知っていましたが、それにしても早すぎたと感じずにはいられません。
彼のお葬式で、私はピアノを弾きました。クラシック音楽を愛好していた彼は、私のリサイタルにはいつも来てくれて、「自分の葬式ではぜひシューベルトを弾いてほしい」 と光栄にも言ってくれていたのでした。こんなに早くその日が来るとは夢にも思わなかったけれど、無事に約束を果たすことができて少し安心しています。
私はもうかれこれ30年ほどクラシック音楽をピアノで弾いていて、その期間はブルースを弾いて来た期間よりもずっと長いことになります。それでたまに、「クラシックをやって来た人がブルースを学ぶのって大変だったんじゃない?」 と聞かれることがありますが、クラシック以外の音楽もずっと聞いてきたので、そういう面 (リズムの感じ方とかフィーリングなど) で苦労したと感じたことはありません。他の面で苦労したことはもちろん山ほどありますが・・・。クラシックもブルースも、根本的なもの - 心に響く音と音楽を求めるということ - は同じだと思います。
お葬式ではシューベルトの即興曲を弾きました。大好きな曲です。シンプルで一見簡単そうですが、すべての音をコントロールするのと全体の構成を考えてまとめるのがけっこう大変で、上手く弾くのは難しい曲だと思います。
>More Brendel: Schubert Op. 90/3
ビデオのピアニストは、アルフレッド・ブレンデル。私はブレンデルの演奏ではシューベルトが一番好きで、シューベルトの演奏はブレンデルによるものが一番好きです。
10.14.09
Carlos Santana – Samba Pa Ti
相変わらず荒波にどっぷりとのまれてしまったような生活が続いていますが、そんな中、一時の安らぎを与えてくれたのが、この曲。
久しぶりに聞いたのですが、この曲を初めて聞いた時の美しく温かい思い出が鮮やかによみがえってきて、安らかで前向きな気持ちになりました。
音楽にはそういう力がありますよね。
久々の凪。
こういうものがあるから、なんとか溺れ死にせずにやって行けているのだと思います。
10.12.09
鍵盤ハーモニカ
ピアニカです。英語ではメロディカと呼ぶことが多いようですが、ブロウ・オルガンなどとも言うそうです。長いことハーモニカの練習を怠っているので、最近はこれでジャムに参加しています。使っている楽器は、SUZUKI PRO-37。普通の学習用ピアニカよりも鍵盤数が多く (名前の通り37鍵)、リードも (詳しいことはわかりませんが) 特殊加工されていて、見た目も高級感があり立派に楽器という感じがします。かなり前に買ったのでうろ覚えですが、ピアニカにしてはけっこうな値段だったと思います。

色々と試してみた結果、これでブルースをかっこよく吹くには、単音だけではなくて、オクターブの和音や和音のトリルを多く使うと、ハーモニカのタング・トリルやタング・フラッターみたいな感じでなかなか良いということを発見しました。スロート・ヴィブラートやスロート・トレモロも使えます。そしてなんと、コツをつかめばベンドもできます。クロマティック・ハーモニカのように、音に表情をつけるためのベンドです。また、この楽器はけっこう厚みのある音がするので、低音部の単音はサックスをイメージしてぶぉーっと吹くことが多いです。あとは、基本はオルガンでブルースを弾く時のようなアプローチというところでしょうか。
ジャムに持って行ったら好評だったのですが、「短いマウスピースじゃなくてチューブを使えば両手で弾けるじゃないか」 と言う人がけっこう多かったです。それは私も考えたのですが、チューブを使うのは、何というか、見栄えが良くないというか、あまり格好がよくないというか、幼稚園や小学校の時にやった合奏を思い出してしまうというか・・・。やっぱり短いマウスピースを使った方が様になる気がするのです。できれば私は、オーガスタス・パブロ (Augustus Pablo) のように素敵なたたずまいでありたい (違)。
>Augustus Pablo – Pipers of Zion
>AUGUSTUS PABLO JAVA LIVE 1986
08.23.09
James Booker: St. James Infirmary
お馴染み “St. James Infirmary”。有名な曲で多くの人が演奏していますが、一番好きなバージョンはジェームス・ブッカー (James Booker) のもの。
>James Booker: St. James Infirmary

ブッカーは私の piano god なのですが、いつも聞きまくっているかというと、実はそうでもありません。この人の演奏は、魂の奥の暗い部分まで入り込んでくるので、かなり気合を入れないと聞けないのです。BGM などには絶対にできない。その代わり、聞く時は集中して、身も心もすっかりゆだねて、しっかりと聞きます。聞いた後には、素晴らしい小説を読んだ後のような、「しん」 とした静けさが心の中に残ります。
このクリップの演奏は、”Resurrection of the Bayou Maharajah” というアルバムに収められています。
07.25.09
Have mercy!
このところ、頭がピアノ・モードに入っていて、ハーモニカの練習がちょいとおろそかになっておりました。最近、自分の演奏に飽きるというか、つまらないと感じることが多くなったので、「これはいかん」 と思い、まき小屋でまきを割ってきたのでした。その甲斐あってか昨晩のギグは、ほんの薄い皮ですが、一皮剥けた気がします。ギタリストも昨日は輪をかけて調子が良くて、いつもとは違う新しいアプローチでソロを弾いていたので、それに煽られたこともあり、新鮮なアドリブができました。しかし、ギグが終わった後に話していたら、彼も昨晩は私に対して全く同じことを思っていたということが明らかになり、笑えたのであります。お互いに煽り、刺激しあっていたわけですね。こういうことがあるから、バンドって楽しいです。
さて、ピアノ馬鹿の私が、座右の銘 (?) としていつも心に留めている演奏のひとつが、こちら。
>Otis Spann – T’Aint Nobody’s Business If I Do
シカゴ・ブルースのピアニストでは一番好きなオーティス・スパン。サイドマンとしても最高の演奏をする人ですが、フロントマンとしても素晴らしいです。このパフォーマンスは見るたびに泣けてきちゃいます。ピアノも良し、歌も良し。ブルースに必要なものすべてがここにある気がする。ブルースって、こういうふうに演奏されるべきなんだよなあ、まったく。

というわけで、ハーモニカも練習してはいたのですが、現状を維持するための基礎練習をするのが精一杯で、進歩はあまりありません。まあ、パッカーとオーバー・ブロウ / ドローがちょっと上手くなったかなという気はしますが・・・。もうちょっと真面目に練習して、次回こそはハーモニカについての記事を書きます。
07.21.09
アンサンブルの楽しみ ・ その1
うちのバンドでは、私がピアノとベースを担当しています。キーボードをスプリット・モードにして、左手でベース、右手でピアンを弾くわけです。近年のロッド・ピアッツァのバンドと一緒ですね。彼のバンドは以前はベーシストがいたのですが、聞いたところによると (真相はわかりません。)、金銭的にきつかったので、ベーシストを手放さなくてはならなかったのだそうな (泣)。うお~!!そんなのってあり?天下のロッド・ピアッツァですよ (号泣)!!ここはひとつ、ロッドの新譜の日本盤解説を書かれている大野木さんにがんばっていただいて、日本の皆さんにロッドの素晴らしさを伝えていただきたいと思います。
私の場合は、うちのバンドを結成した時にベーシストだけが見つからなくて、とりあえず私が弾いていたのですが、そのまま現在までだらだらと来てしまったという成り行きベーシストです。何度かベーシストのオーディション (などというご大層なものではなかったのですが。) もしたのですが、どうもしっくりこないし、5人より4人の方がギグやリハーサルの予定も立てやすいし (みんなそれなりに忙しいので。) 、一人当たりのペイも良いということで (結局金か。)、今はこの編成ですっかり落ち着いています。
左手でベースを弾きながらだと、音域、使うテクニック、演奏のアプローチなど、ソロの演奏がやはり幾分限られてしまいます。たまにベーシストのいるバンドとセッションすると、「ああ、左手が自由だとこういうこともできるんだ」 と改めて感じたりして、「やっぱりベースがいるっていいよなあ」 と思うこともあるのですが・・・でも、なんだかんだ言って、私はベースを弾くのが好きなんですよね。ベースはバンドの柱のような存在です。ピアノやハーモニカでバンドのセッションに参加する時、曲の構成を掴むのに私がいつも頼りにするのは、ベースの音です。他の人の音ももちろん聞きますが、一番頼りになるのはベース。ドラムと一緒になって曲のグルーヴと 「枠組み」 を作り、その上で他の楽器を自由に遊ばせるというのは、なんとも言えない満足感と緊張感があります。
さて、前置きが長くなりましたが、本題です。先週末は友達のバンドのギグがあったのですが、いつものベーシストが参加できないということで、私がお手伝い参加しました。本番の2週間ほど前に、バンドの持ち曲27曲が入ったCDを渡されていたので、それを聞き込んでしっかりとお勉強して行きました。知っている曲も多かったのですが、自分では演奏したことがない曲がほとんどだったので、「この曲は普通 ( I IV V ) の12バーだとばかり思っていたけど、ツーファイブ ( II V ) だったんだ」 などと、普段いかにいい加減に聞いているかということが明るみになり、とてもよい勉強になったのでした。ドラマーが何度も一緒にやったことのある人だったこともあって、本番までの2回のリハーサルでバンドの感じも楽に掴むことができ、当日を楽しみにしていました。新しい曲を新しい人達と演るというのは、自分のバンドとは一味違った楽しさがあります。ああ、アンサンブルの楽しみ。
そして当日、本番前のサウンド・チェックが終わり、景気付けの一杯をやりながら (私は演奏前と演奏中は飲まないことにしているので、ジュースで参加。)、バンド・メンバーとあれやこれやと話していた時のこと。ステージで私から一番遠い位置にいたリズム・ギターの人に、「私の音、そっちまでちゃんと聞こえてる?」 と聞いてみました。何か問題があれば、サウンド・チェックの時にサウンドマンに言っているだろうとは思いつつ、念のため。すると、帰ってきた言葉が・・・
「いや、聞こえてない。でもあんまり重要な問題じゃないから、大丈夫だよ。」
「問題じゃない」 って!そんな~。あ、あんさんぶるのたのしみはいづこに・・・。
確かに会場やステージのセッティングによっては、自分の音や他の人の音が全てバランスよく聞こえないことも多いわけで、そういう時でもそれなりの演奏ができる力というのは必要だとは思います。でも、サウンド・チェックの時は、ステージ上の音と客席の音を、時にはどこかで妥協しながらも、できるだけ最高のものにしようと努力するものではないの?
結局、私からサウンドマンに頼んで、キーボードのアンプの位置を変えてもらったのですが、なんだかがっくりしてしまいました。ギグはまあ楽しかったのですが、他の奏者の音を聞かずにするアンサンブルの意味って何なのでしょうね?みなさま、人の音もぜひ聞きましょうね。
06.04.09
Koko Taylor (R.I.P.)
スヌークス・イーグリン (Snooks Eaglin)、エディ・ボー (Eddie Bo)、忌野清志郎と、今年はショックなニュースが多いと思っていたところにもうひとつ。

>Koko Taylor – Good Times Roll + I’m A Woman 1978
R.I.P.
03.13.09
The Count Basie Orchestra, B.B.King
ここ数日、はまっている曲。The Count Basie Orchestra と B.B.King による、”Every Day I Have the Blues ” の演奏。最近、この曲のファンク・バージョンをピアノで演ろうと思いついて、色々な人の演奏を聞いていたのですが、そこでこの演奏を見つけました。私のファンク・バージョンのイメージとは程遠いのですが、それはさておき、これがもう、かっこいい!!のです。毎日、何度も何度も聞いてしまいます。飽きません。
>Every Day I Have The Blues – B.B. King, the Count Basie Orchestra
ホーン・セクションが 「パッ!」 とか 「ダァー!」 とか 「ぶひゃ~~~!」 などと、いたるところにアクセントを入れているわけですが、その場所が毎回様々で、そのちょっと予測不可能なところが最高に気持ち良いです。
よく聞いてみると、このホーン・セクションのアクセントは、らった らった らった らった・・・というスウィングのリズムにのって入る場合と、4拍子のビートにのって入る場合と、2種類あるようです。それが見事にミックスされていて、もうかっこいいったらありゃしないです。
「一台のオーケストラ」 とも呼ばれるピアノという楽器を弾く者としては、これはインスパイアされます。こういうふうにピアノが弾けるようにがんばろう!と思ったのであります・・・が、更に思ったことは、「これはハーモニカでもいけるんじゃないか」 ということです。サクソフォーンと似ていると言われることが多いブルース・ハープ (アンプリファイド) ですから、ホーンの演奏の良いところはどんどん盗むに限ります。切れとパンチのある音とか、リフやリック、フレージング、ヴィブラート、アーティキュレーションなどなど・・・盗みどころ満載です。リトル・ウォルターがサクソフォーンの演奏をよく聞いてコピーしていたというのは有名な話ですし、デニス・グルンリング (Dennis Gruenling) も、ジャズのホーンやヴォーカルをコピーしたと言っていました。
ブルース・ハープを演奏するには、ブルース・ハープの曲を聞き込んだりコピーしたりすることはもちろん大切です。しかしそれと同時に、より幅広く個性のある演奏をするためには、ハーモニカの曲だけではなくて、色々な楽器の演奏を聞いたり、様々なジャンルの音楽を聞くことも大切だと思います。ジェイソン・リッチ (Jason Ricci) なんかは、クラシックのヴァイオリンの曲がすごく好きらしいですね。
理想としては、色々な音楽を心と身体で感じて聞いて、それが自分の中に残り、アドリブをする時に自分の音楽として奏でられるということでしょうか。私はたまに、10代の多感だった頃に聞きまくった音楽が、自分の演奏の根本になっているのかもしれないなあと思うことがあります。ということで、みなさん、よい音楽をどんどん聞きましょう!
01.22.09
Hymn to Freedom
オスカー・ピーターソン (Oscar Peterson) が残した名曲、名演奏は数多くあるけれど、その中であえて一曲挙げて、と誰かに言われたとしたら、たぶん私は “Hymn to Freedom” (「自由への賛歌」) と答えるだろうと思う。この曲が収められたアルバム “Night Train” は全編にわたってブルージーで、普段あまりジャズを聞かない人でも、ブルースが好きならば大いに楽しめるお勧めの一枚である。

初めてこの “Hymn to Freedom” を聴いた時、全身の血が泡立って、鳥肌が立った。何か特別なオーラのようなものがあると思った。なぜかわからないけれど、「この曲は特別な曲なんだ」 と確信した。それからしばらく経って、オスカー・ピーターソンがキング牧師 (マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、Martin Luther King, Jr.) にインスパイアされてこの曲を作ったのだと知った時、「ああそうか、そういうことだったのか。だからこの曲はこんなにも特別なんだ」と納得した。歌詞があるわけでもないのに、作る側の意思が受け取る側に伝わる音楽の力というものを、改めて感じた瞬間だった。今でもこの曲を聴くたびに- 特にピーターソンが両手のトレモロでクレッシェンドしていくところで - 全身の血が沸騰するような感覚に襲われる。

先日アメリカでは、オバマ氏が大統領に就任したが、その式典では、この “Hymn to Freedom” が合唱団によって歌われた。公民権運動が行われたのが、1955年から1968年。オスカー・ピーターソンが “Hymn to Freedom” を録音したのが1962年。そして今、アフリカ系アメリカ人が大統領となる時代が来たのである。この曲が、このような舞台で演奏される時代が来たのだ。人々がオバマ大統領に期待を寄せるのは、彼がアフロ・アメリカンであるからということだけが理由であるべきでないとは思う。しかし、そのことが歴史的に大きな意味を持つのも、やはり確固たる事実である。
式典では、アレサ・フランクリン (Aretha Franklin) も “My Country, ‘Tis of Thee” を歌った。アレサは、キング牧師の葬式でもこの曲を歌ったのだという。
>Aretha Franklin – Sings ‘America’ My Country Tis Of Thee

残念ながら、YouTube では “Hyms to Freedom” の良さが伝わる映像が見つからなかった。オスカー・ピーターソンは、脳梗塞で左手がうまく使えなくなったということもあり、非常に悲しいことではあるけれど、晩年の演奏はぱっとしない。私は亡くなる前の年にライブを見に行ったのだが、その時も演奏の衰えは明らかで、悲しくなってしまった。そういう訳で、今回は、まだばりばり弾いていた頃の - クリスプで、力強く、エレガントな演奏をしていた頃の - ピーターソンの演奏をいくつか紹介したい。
>Oscar’s boogie
>Oscar Peterson: Take the “A” Train
>Oscar Peterson – Fly Me To The Moon
“Hymn to Freedom” は、ぜひアルバムに収められたものを聴いていただきたいと思う。切なる祈りと熱い思いが込められた、素晴らしい演奏である。
12.26.08
Eartha Kitt (R.I.P.)
アーサ・キット (Eartha Kitt) が25日に亡くなったそうです。去年のクリスマス・イヴにはオスカー・ピーターソン (Oscar Peterson) の訃報に接し、「この時期は訃報が多いなあ。去年のクリスマスにはジェームス・ブラウン (James Brown) が亡くなったんだよなあ。」 としみじみ思ったのですが、それに続いて今年はアーサ・キット。
アーサ・キットといえば、”Santa Baby” を初めてレコーディングしたことで有名ですが、その彼女がクリスマスの日に亡くなるとは・・・人生ってなんとも不思議です。

この “Sanra Baby” という曲は、その後も様々な人が録音しています。女性がサンタクロースに高価なプレゼント (毛皮、コンバーチブルの車、ヨット、ティファニーの品々で飾ったクリスマス・ツリーなど。) をおねだりする歌で、ユーモアのあるよくできた曲だと思うのですが、お色気たっぷり、コケティッシュに歌う人が多くて、それが鼻につくことが多いです (まあ、それがこの曲のポイントでもあるのですが)。でもアーサ・キットのオリジナル・レコーディングはあまりどぎつくなくて、それでいてかわいらしくセクシーで、この曲の可笑しさがよく伝わる仕上がりになっていると思います。
>Eartha Kitt with Friends Santa Baby
かわいいなあ、若き日のアーサ・キット。
R.I.P.