2008/09/09

カスタム・ハーモニカ

Posted in ハーモニカ tagged , , , @ 1:36 am by Yuki

より良い演奏を無駄な労力なしでできるように手が加えられたハーモニカを、カスタム・ハーモニカといいます。アメリカやヨーロッパでは、プロのハーピストやプロ並の演奏をする人 (または目指す人) は、カスタマイズされたハーモニカを使っていることが多いです (手直しされていないハーモニカをそのまま使う人ももちろんいます)。私は日本の事情はよくわからないのですが、吉田ユーシンさんなんかがカスタマイズをやっているみたいですね。

「どうしてカスタマイズなんかが必要なんだ。ソニー・ボーイ・ウィリアムソン (両者) やリトル・ウォルター、ビッグ・ウォルターなどの往年のプレイヤーは、みんな Marine Band をそのまま使っていたじゃないか」 という疑問が湧いてくるわけですが、その頃の Marine Band は近年の物とは比べ物にならないくらい質が良かったのです。大量生産されるようになったのと、古い機械を長年変えずに使い続けて来たのとで、近年の Marine Band は質がぐっと下がってしまったらしいです。しかし、Hohner で働く知人によると、数年前に機械に入れ替えをしたので、最近はまた質が上がって、60年代に次ぐ質の良さに戻ったのだということでした。

もともと市販のハーモニカというのはどれも少しずつ癖があって、完璧な物は稀なのです。物によって、「2穴が鳴りにくいな」 とか、「3穴がすかすかするな」 とか、難点があるのが当たり前というくらいです。特に Marine Band は当たりはずれが多い楽器だと言われます。Marine Band をそのまま使っているというプロの人もいますが、そういう人でも、「はずれ」 の Marine Band は使わないはずだと思います。それから、オーバー・ブロウなどを演奏で使う人は、それがしやすいように手を加えたハーモニカを好む様ですね。

さて、カスタム・ハーモニカの職人として有名なのが、以前紹介したジョー・フィリスコ (>Joe Filisco)。キム・ウィルソン (Kim Wilson)、デニス・グルンリング (>Dennis Gruenling)、ジェリー・ポートノイ (>Jerry Portnoy)、ハワード・リーヴィー (Howard Levey) など、トップ・プレイヤー達のハーモニカをカスタマイズしている人です。ジョー自身もすばらしい演奏をするプレイヤーであります。

他には、リチャード・スレイ (Richard Sleigh)、ジェームス・ゴードン (James Gordon)、ブラッド・ハリスン (Brad Harrison)、ジョー・スパイアーズ (Joe Spiers) などが有名どころでしょうか。前述のジョー・フィリスコをはじめ、この方達はもう、魔法のような仕事をすることで名が知られています。各プレイヤーのニーズに合わせて、膨大な時間をかけてハーモニカを仕上げます (当然値段もお高いです)。私は夫が持っているブラッド・ハリスンのハープをちょっと試し吹きしたことがありますが、これは大きな衝撃でした。驚くほど気密性が高くて感度が良く、同じハーモニカであるとは信じられないほどでした。でも逆に、感度の良いハープというのは、テクニックがしっかりしていないと使いこなすのはむずかしいなあ、と思ったのも事実です。

カスタム・ハーモニカと普通のハーモニカを吹き比べする、というのを、我らがジェイソン・リッチ (Jason Ricci) がやっております。
Custom Harmonica Vs. Out of Box Harmonica 007

彼が吹き比べをしているのは次の3つのハーモニカ。

1.普通の Marine Band
2.ジョー・スピアーズがカスタマイズした戦前 (1920年代) の Marine Band
3.ジェイソン自身がカスタマイズした Golden Melody

聞き比べてみると、確かに、なめらかで気密性の高いカスタム・ハープに比べて、普通の Marine Band は leaky (空気が漏れやすい) ですね。音量もカスタム・ハープに比べると小さいです。ジェイソンは 「自分は、普通の Marine Band をそのままギグで使うことは絶対にない」 と言っていますね。それでも彼が吹くと、普通の Marine Band もさすがにいい音がしていると思います。

ついでに、ジェイソンがカスタム・ハープを使ってオーバー・ブロウをして見せる映像というのもあります。
Custom Harmonicas Part 2/bending overblows 008

広告