2009/03/25

Honest I Do - Kim Wilson の場合

Posted in ハーモニカ・プレイヤー @ 7:34 pm by Yuki

さて、先日の予告通り、今日はキム・ウィルソン (Kim Wilson) による “Honest I Do” の演奏です。先日の記事を読んでいない方は、こちらをどうぞ。
Honest I Do – Richard Sleigh の場合

2003年に、アルバム “Lookin’ for Trouble” のプロモーションとして、NPR (National Public Radio) の番組にキムが出演した時のものです。長さ12分ほどですが、キムのインタビューと演奏が聞けます。”Honest I Do” は、一番最後にアコースティックのソロで演奏されます。インタビューの半ばでは、ブギの演奏もありますよ!

下のリンクから、Listen Now のところをクリックしてお聞き下さい。このページには、”Love Attack” の演奏もありますので、こちらもお聞き逃しのないように。素晴らしい演奏です。

NPR – The Fabulous Kim Wilson

kim_wilson_bb

インタビューもとてもためになりますね。12分という短い間で、ブルース・ハープと、ブルースという音楽についての真髄を見事に語っていると思います。特にこの言葉。

ブルースって音楽は、全て骨盤にあるものなんだ。骨盤こそが、それを感じる場所なんだ。それができないんだったら、吹いている音が1000個だろうが1個だろうが、そんな演奏に俺は興味がない。そんなのは、果たすべき役目を果たしていない演奏だよ。
The thing about blues music is, it’s all in the pelvis. That’s where people need to feel it. And if you can’t do that, I don’t care if you are playing a thousand notes or one. You are not delivering the goods.

キム兄、かっこいいー!!!一生ついて行きます!!
骨盤ですよ!骨盤!やっぱブルースは、腰で感じなくちゃならんのです。

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2009/03/22

Honest I Do - Richard Sleigh の場合

Posted in ハーモニカ・プレイヤー tagged @ 10:46 am by Yuki

“Honest I Do”。ジミー・リード (Jimmy Reed) の曲の中で、一番と言っていいほど好きな曲です。ジミー・リードのオリジナルはもちろん素晴らしいですが、最近、リチャード・スレイ (Richard Sleigh) がこの曲をカヴァーした映像をアップしていたので、今日はそれを紹介します。ハープ一本と歌による演奏です。この曲は色々な人がカヴァーしていますが、リチャードのこの演奏は、私の中ではトップ3に入ります。リック・エストリンなどのハープを手がけるトップ・クラスのハーモニカ・カスタマイザーとして有名なリチャード。優しい人柄がにじみ出るようなとても素敵な演奏をするので、私はプレイヤーとしても密かなファンなのであります。

Honest I Do – Richard Sleigh

richard_sleigh_bw

心から愛している人がいるんだろうな、というような演奏ですね。こういう人の心を揺さぶる力を持つものを、「音楽」 と呼ぶのだと思います。そういうものが感じられなかったとしたら、どんなに高度なテクニックを駆使した演奏でも、私にとってはそれは 「音楽」 ではなくて、ただの 「音の羅列」 でしかありません。良い演奏をするにはテクニックがあるに越したことはないですが、テクニックはあくまで 「手段」 であって、それ自体が 「目的」 になってしまった演奏では、人の心に訴えかけることはできないと思います。

次回は、「Honest I Do - Kim Wilson の場合」 です。

2009/03/18

Tiger Man

Posted in ハーモニカ・プレイヤー tagged , , @ 10:47 am by Yuki

キム・ウィルソンが演奏する曲で好きなもののひとつに、”Tiger Man” があります。エルヴィス・プレスリーが演奏したので有名な曲らしいですが、私はこの曲はキムから入りました。なんかこの曲、かわいくて好きなんですよね。何と言っても、はじまりの歌詞が、

俺はジャングルの王様だ
やつらは俺のことを、虎男 (タイガー・マン) と呼ぶのさ

I am the king of the jungle
They call me the tiger man

ですから。
2番では山にも登っちゃいますよ!

俺は山に登って、俺の黒猫を呼ぶんだ
I get up on a mountain
And I call my black cat back

こんな感じで本人は強がっているんですが、どこかぬけて感じられるところが好きです。30代も半ばに差し掛かろうとしている女としては、男ってかわいいよな、と思わせる歌であります。もっと若い頃なら、こんなふうに山の上から威張って呼ばれたら、「ふん、何さ。そんなに偉そうにして呼んだって行かないわよ。」 と言うこともあったかもしれませんが、最近は、「かっこつけちゃって、仕方ないわねえ。はいはい、今、行きますよ。」 とあしらうことができる気がします。尤も、こういうマッチョ系の人を好きになることはあまりないのですが。

YouTube に、この曲の作曲者でもあるジョー・ヒル・ルイス (Joe Hill Louis) による演奏がありました。ハーモニカは・・・この演奏はたぶん、ビッグ・ウォルター・ホートン (Big Walter Horton) でしょうか。

Tiger Man – Joe Hill Louis

続いて、キム・ウィルソンとキッド・ラモス (Kid Ramos) のデュオ。1995年の映像だそうです。キムの同名のアルバム “Tiger Man” がリリースされたのが93年ですから、そのちょっと後ですね。ここではアコスーティックのハープを吹いています。

Fabulous Kim Wilson-Tigerman

以前、キムのライブを見に行った時、キムが、「リクエストはある?」 と観客に聞いたことがありました。私は思わず 「タイガー・マーン!」 と叫びそうになったのですが・・・なんだか恥ずかしくてできなかったです。

2009/03/16

Little Walter – The Complete Chess Masters

Posted in CD tagged @ 4:39 pm by Yuki

明日 (17日) リリースされる、リトル・ウォルターのボックス・セット。チェス・レコードで録音した全曲が、5枚のCDに収まっています。

Little Walter The Complete Chess Masters

lw_complete_chess

私はコレクター的気質はないので、「ボックス・セットが出たから買わなくては!」 とは思わないのですが、未発表曲がけっこう入っているということで、ちょっと心が揺さぶられます。チェスだけではなくて、他のレアな録音も全て入っているというのなら絶対買い!!なのですが・・・。う~ん、悩むところです。とりあえず、誕生日やクリスマスなどの夫へのプレゼント・リストの中には入れておくことにします。バレンタインにプレゼントしたリック・エストリンのDVDといい、ハーピストの妻の鏡のようだと自分で思います (自分が聴きたいだけでは?というつっこみは、この際なしです)。

2009/03/13

The Count Basie Orchestra, B.B.King

Posted in ハーモニカ以外 tagged , , , @ 1:23 pm by Yuki

ここ数日、はまっている曲。The Count Basie Orchestra と B.B.King による、”Every Day I Have the Blues ” の演奏。最近、この曲のファンク・バージョンをピアノで演ろうと思いついて、色々な人の演奏を聞いていたのですが、そこでこの演奏を見つけました。私のファンク・バージョンのイメージとは程遠いのですが、それはさておき、これがもう、かっこいい!!のです。毎日、何度も何度も聞いてしまいます。飽きません。

Every Day I Have The Blues – B.B. King, the Count Basie Orchestra

ホーン・セクションが 「パッ!」 とか 「ダァー!」 とか 「ぶひゃ~~~!」 などと、いたるところにアクセントを入れているわけですが、その場所が毎回様々で、そのちょっと予測不可能なところが最高に気持ち良いです。

よく聞いてみると、このホーン・セクションのアクセントは、らった らった らった らった・・・というスウィングのリズムにのって入る場合と、4拍子のビートにのって入る場合と、2種類あるようです。それが見事にミックスされていて、もうかっこいいったらありゃしないです。

「一台のオーケストラ」 とも呼ばれるピアノという楽器を弾く者としては、これはインスパイアされます。こういうふうにピアノが弾けるようにがんばろう!と思ったのであります・・・が、更に思ったことは、「これはハーモニカでもいけるんじゃないか」 ということです。サクソフォーンと似ていると言われることが多いブルース・ハープ (アンプリファイド) ですから、ホーンの演奏の良いところはどんどん盗むに限ります。切れとパンチのある音とか、リフやリック、フレージング、ヴィブラート、アーティキュレーションなどなど・・・盗みどころ満載です。リトル・ウォルターがサクソフォーンの演奏をよく聞いてコピーしていたというのは有名な話ですし、デニス・グルンリング (Dennis Gruenling) も、ジャズのホーンやヴォーカルをコピーしたと言っていました。

ブルース・ハープを演奏するには、ブルース・ハープの曲を聞き込んだりコピーしたりすることはもちろん大切です。しかしそれと同時に、より幅広く個性のある演奏をするためには、ハーモニカの曲だけではなくて、色々な楽器の演奏を聞いたり、様々なジャンルの音楽を聞くことも大切だと思います。ジェイソン・リッチ (Jason Ricci) なんかは、クラシックのヴァイオリンの曲がすごく好きらしいですね。

理想としては、色々な音楽を心と身体で感じて聞いて、それが自分の中に残り、アドリブをする時に自分の音楽として奏でられるということでしょうか。私はたまに、10代の多感だった頃に聞きまくった音楽が、自分の演奏の根本になっているのかもしれないなあと思うことがあります。ということで、みなさん、よい音楽をどんどん聞きましょう!

2009/03/10

Eddie Martin - ワンマン・バンド

Posted in ハーモニカ・プレイヤー tagged , , @ 11:19 pm by Yuki

忙しかった仕事にやっと一段楽ついて、疲れが出たのか気が緩んだのか、風邪をひいてしまいました。症状はそれほどひどくはないのですが、人にうつしては申し訳ないので、今日はやむなく仕事はお休みです。有給や病欠給のないフリーのピアノ弾きというのは、こういう時は辛いものがあります。

それはさておき。
先週末は、エディ・マーティン (Eddie martin) のバンドのギグにゲスト参加。エディについては以前書いたことがあるので、よかったらそちらをご覧ください。
Eddie Martin
身体で感じて演奏する

eddie_martin_cr

久しぶりに彼のサイトを見てみたら、最近リリースされたDVDからのクリップがアップされていたので、今日はその中から、アコースティックのワンマン・バンドの演奏を紹介したいと思います。
Eddie Martin – Shake Your Hips & One Man Band Rag

エレクトリック・バンドの演奏もかっこいいですが、私はエディのワンマン・バンドの演奏がすごく好きなのです。もともと、ドクター・ロス (Dr. Ross) やジョー・ヒル・ルイス (Joe Hill Louis) に影響されてブルースに入った人なので、ワンマン・バンドは彼の音楽の原典のようなものなのだと思います。

liveatthewharf_dvd

ギターもハーモニカも歌も、全て独学で身につけたというエディ。ハーモニカは裏返し (左右反対) です。ソニー・テリー (Sonny Terry) と一緒ですね。うちの夫は、彼のギター・ワークショップに参加したことがあるのですが、エディがいかに、様々なギタリストのスタイル (ミシシッピ・ジョン・ハート、T-ボーン・ウォーカー、マディ・ウォーターズなどなど・・・。) を弾くことができるかということに驚き、感心しておりました。自分のスタイルを築き上げた人というのは、やはり先代の演奏をしっかりと学んでいるのだと思います。

2009/03/08

呼吸で作るグルーヴ感

Posted in テクニック, ハーモニカ・プレイヤー tagged @ 7:44 pm by Yuki

今日はうちの夫の演奏をアップしたいと思います。興味のある方はどうぞ。

Slow Blues in D – solo harmonica

私はハーモニカの基礎は、ほとんど全て彼から学びました。最近は様々なポジション (ファースト、セカンド、サード以外) を練習したりしていることもあって、たまに質問したりアドバイスをしてもらうくらいなのですが、彼から学んだ基礎なしにはここまでハーモニカにのめり込むことはなかっただろうと思います。

ハーモニカを始めたての頃から、耳にタコができるほど夫から注意され続けてきたのが、「音色」 と 「呼吸で作るグルーヴ感」 です。音色についてはこのブログでも何度も書いてきたので、今日はグルーヴについて書いてみます。

上手い人は皆、音が出ていない時でも呼吸でリズムを取っていて、それがグルーヴ感につながるのだ思います。リトル・ウォルターなどが良い例で、彼の演奏を注意して聞くと、いたるところでこの 「呼吸が作り出すリズム」 を聞くことができます。「タッ」 とか 「ハッタハッ」 という感じで、ハーモニカを口につけるかつけないかというくらいの音にならないような音なのですが、それがフレーズや音楽全体に流れを与えているのです。これなしにリトル・ウォルターのスウィング感は作り出せないと思います。私の尊敬するギタリストが、「グルーヴを作るのに大切なのは空ピックだ」 と言っていたのを聞いて、(ギターが弾けないにもかかわらず)、「ハーモニカととても似ている!!」 と思ったことがあります。ギターを弾く方なら、空ピックのようなものだと思えばわかりやすいのかもしれません。

前述のリトル・ウォルターに限らず、上手い人なら皆やっていることで、これができているかいないかは、「上手い人」 と 「ほどほどに上手い人」 とを分ける一線のひとつだと思います。良い演奏をするためにはとても大切なテクニックなはずなのですが、教えるのが難しいためか、自分でできないので教えられないためか、または自分ではできていてもあまり意識していないためか、ワークショップなどでもあまり語られることがありません。ではどうやったらマスターできるようになるのかというと、曲をコピーする時に、明らかに聞こえている音だけではなくて、音と音の間の音やフレーズとフレーズの間の音まできっちり耳をそばだててコピーして、だんだんと感覚をつかみ、アドリブの時でも自然にできるようにする・・・というように、地道に取り組むしかないのかもしれません。これができるようになると、演奏のレベルが一段アップすることは間違いなしなので、努力する甲斐はあると思います。

2009/03/01

革命児 リトル・ウォルター

Posted in ハーモニカ・プレイヤー, 本 / DVD / 映画 tagged , @ 9:29 pm by Yuki

少し前に、キム・ウィルソンがサウンド・トラックで吹いているという映画、”Cadillac Records” について書きました。(>Kim Wilson – Juke, My Babe)。首を長くして待っていたこの映画、ようやくイギリスでも公開になり、早速観に行って来ました。

全体としては不満 (というか物足りなさ) も正直ありましたが、見終わった後に、「マディ・ウォーターズやリトル・ウォルターは、やはり革命児だったんだよなあ」 と改めて思ったということを考えると、良い映画だったのだと思います。

cadillac-records-jeffory-wright

アンプリファイドの演奏を一般化したということで革命児扱いされることが多いリトル・ウォルター (この映画でもそうでした)。彼が素晴らしいアンプリファイドの演奏をしたことはまぎれもない事実なのですが、私はそれは彼が起こした革命のほんの一部にすぎなかったと思うのです。彼の真の功績は、全く新しいアプローチでハーモニカを演奏したことと、全く新しいスタイルの音楽を作り出したということにあると思います。

先日の記事 (Little Walter の未公開映像 - その後) で紹介した映像でも、衝撃を受けたフレーズがいくつもありました。特に2曲目のインスト・ナンバーは、目を見張るというか耳を疑うというか、これまで聞いたことのない斬新なリックが所々にあって、何度聞いても 「おおおお」 と唸ってしまいます。彼の死からは40年以上が経っているわけですが、その間誰も思いつかなかったようなリフをこうしてアドリブでやっているのを見ると、もうお手上げだなあと思います。本当にこの人は、信じがたい天才です。アンプリファイドの時とアコースティックの時では奏法を使い分けているのは明らかですし、「どうやったら楽器 (アンプなどの機材を含む。) を最も効果的に鳴らすことができるか」 ということを本当によく知っていた人だと思います。

l_walter2

キム・ウィルソンがサウンドトラックのハーピストというのは、見事に適役だったと思います。キムはよく、リトル・ウォルターと比べられたり、その演奏を 「リトル・ウォルターのコピー」 と言われたりしますが、本人はそれを、「リトル・ウォルターに対する冒涜 (sacrilege) だ。」 とインタビューで言っておりました。

映画全体の感想は日常のブログの方に書いてありますので、興味のある方はそちらをご覧下さい。