2009/05/30

So I don’t have to be blowing so damned hard

Posted in テクニック, ハーモニカ・プレイヤー tagged , @ 3:48 pm by Yuki

最近、リトル・ウォルターのコピーを集中してやっています。私は常々、音をコピーする以上のことができた時に、本当に何かを身につけることができると思っています。これはどのプレイヤーをコピーする時にも言えることではありますが、リトル・ウォルターは特に強くそう感じます。多彩な音色、見事なフレージング、呼吸で作り出すリズムとグルーヴなどの微妙なニュアンスが満載で、そういうところをコピーしてこそ、得る物が多いプレイヤーだと思うのです。特にあの軽やかさ。ハーモニカは強く吹くものではないのだということを証明するかのような演奏です。私は、多くのプレイヤーは強く吹きすぎると思います。音を身体に共鳴させることではなくて、強く吹くことで出そうとする。私も気をつけてはいますが例外ではなくて、パンチの利いた音や音量を出したいと思う時に、強く吹きすぎてしまったりということがあります。でもパンチの利いた音や音量というのは、ここがよく誤解されるところだと思うのですが、本当は力で出すものではないんですよね。

そんなことを考えていたら、偶然にも、私がよく行くハーモニカのコミュニティ・サイトの掲示板でこのことが最近話題になっていて、そこでバーベキュー・ボブ (Barbeque Bob Maglinte) というプレイヤーが素晴らしい書き込みをしていました。バーベキュー・ボブさんは、サニーランド・スリムやジミー・ロジャースなどとの共演の経験も持つプレイヤーで、アメリカはマサチューセッツを中心に活躍しています。私がハープ関係の掲示板やメーリングリストに目を通す時、「この人の書くことは勉強になることが多いから、いつも欠かさずに読む」 という人が何人かいて、ボブさんもその一人です。彼のしっかりとした知識と豊かな経験に基づく公正な意見からは学ぶことが多く、彼の書き込みにお世話になっている人は私だけではないはずです。他にも何人かバーベキュー・ボブという名前のミュージシャンがいるので、どうぞお間違えのないように。ボブさんの音楽はこちらで聞くことができます。文句なしにかっこいいっす。
Barbeque Bob And The Rhythm Aces

Barbeque_Bob

今回のボブさんの書き込みの内容も全体にためになることばかりだったのですが、長いので特に印象に残った一部を紹介します。

ほとんどのプレイヤーは、自分のブレス・コントロールに対しての見極めが不十分なんだ。そしてほとんどの人は、自分が強く吹きすぎているかもしれないなんて、夢にも思わないだろう。

多くのプレイヤーはアンプリファイドの演奏をする時に、強く吹けば彼らのハープ・ヒーロー達に近い音が出ると勘違いして一層強く吹く傾向があるけれど、それは僕はとても皮肉なことだと思う。本当のことを言うと、強く吹くことは彼らの演奏の質を下げるだけなんだ。雑誌 “Living Blues” の初期の号には、亡くなる数ヶ月前に行われたリトル・ウォルターのインタビューが載っている。その中で、「どうしてあなたはアンプリファイドの演奏の方を好むのですか?」 という質問に対して、リトル・ウォルターはこう答えているよ。「その方が、強く吹かなくて済むからさ (so I don’t have to be blowing so damned hard)」 ってね。それにもかかわらず、大半のプレイヤーはその正反対の道を進んでいるんだ。

身体をリラックスさせて演奏することを身につけたら、空気の通り道が開いて、空気は全く妨げられることなしに流れる。そうすると、より響き渡った音で演奏できるようになるし、空気をより有効に使うことによって、少しの力で音量を出すことさえできるようになるんだ。リードにかかる圧力も80%少なくなるから、ハーモニカの故障もなくなるよ。

大きな音、ブルージーな音、マッチョな音、ダーティーな音、ソウルフルな音を出すことと、強く吹くこととは別物だということをしっかりと肝に銘じて (気をつけていないと忘れそうになるので。)、練習に励む今日この頃であります。

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6件のコメント »

  1. ジャンゴたけ said,

    バーベキュー・ボブさんてブルース・ブラザース2に出てた早吹きの
    ハーピストでしょうか?記憶が定かではありませんけど・・・
    リトル・ウォルター初めサニー・ボーイ1世、2世、ジェリー・ポートノイも
    チャーリー・マッコイ、DeFord Baileyなど力まずに吹いてますね。
    特にカントリー系、フォーク系はそれが当たり前ですし、その延長に
    あるモダン・ブルースも同じと思います。
    強いていえばステージ・パフォーマンスとしてハード・ブローで
    聴衆を煽るハーピストが二人みられます。
    ジョージ・スミスとジェームス・コットンのお二人ですね。
    2人共にそんな時代が有ったんだという事でしょうか。
    あとは個性的な演奏家として特色を出す為でしょうか。
    そんな風に感じます。
    基本は普通に息をするように吹くことですよね。

    • Yuki said,

      >ジャンゴたけさん

      ジェームス・コットンは確かに強く吹く人ですが、呼吸やブレス・コントロールはきちんとできていますし、繊細な演奏もできますよね。最近の人では、スティーヴ・ベイカーとかアダム・ガッソーなんかが比較的強く吹くプレイヤーだと思います。ストリートで吹いていた経験のある人は、強く吹くのが習慣になっていることが多いようです。この3人に共通して言えるのは、強く吹いても耳障りな嫌な音にならないということではないでしょうか。きっと基礎ができているからでしょうね。

      フォークでは、ボブ・ディランという巨匠がああいう吹き方をしているので、真似をしたり、影響を受けたりしている人が多いような気がします。ボブ・ディランは優れたミュージシャンですし、あのハーモニカもひとつのスタイルであるとは思いますが、ここでボブさんが言っているのとは正反対のアプローチですよね。

      ボブさんをはじめ、音色にこだわりのある人は、ヴォーカルのレッスンを受けることを勧めることが多いです。呼吸の仕方はもちろん、姿勢、喉や口の中の開き方、お腹の支え、身体への共鳴の仕方など、ハーモニカの演奏と共通するものがあるからでしょうね。

  2. msakai said,

    私もボイストレーニングのレッスンを受けていましたが、確かに共通することが多いですね。ビブラートの練習も使うところは違うけどアプローチの仕方とかは似ているような気がします。でも難しいですね。David Barrettの教則本でも、laughing vibratoなどは一生かかって習得する人もいるみたいなことを言っていたような気がします。早速、ボブさんのサイトからフリーで3曲ダウンロードして聴いています。いつも情報ありがとうございます。

    • Yuki said,

      >masakiさん

      私は歌が下手なのですが、それでもハーモニカをやるようになってから、少しましになりました。喉が開くようになったのが一番大きいと思います。昔、声楽の先生が言っていたことも今なら良くわかります。

      ビブラートについてはいずれ書いてみたいと思っています。ビッグ・ウォルターなんかが使っていたのは、ほとんどの場合がスロート・ビブラートではなくて、スロート・トレモロですよね。ビブラートとトレモロの違いはよくわかっていない人も多いと思いますし (私も一年前くらいまで知りませんでした。)、日本ではトリルのことをトレモロと呼ぶ場合もあるようなので、余計にややこしいですね。

  3. 韓信 said,

    バーベキュー・ボブいいっすね。

    なんかすぐ友達になってくれそう(笑)

  4. Yuki said,

    >韓信さん

    私は日本の事情は全くわからないのですが、こちら (欧米) のハーモニカ界を見て、ブルース・ハープ・プレイヤーって、親切で心の大きい人が多いなあと思います。コミュニティ・サイトやメーリング・リストでは、それで生計を立てているはずのプロの人達が人々の質問にばんばん答えていますし、YouTube なんかでも、たくさんのプロ (又はプロに近い人) がコツを伝授したり、種明かしをしたりしていますよね。ありがたいことです。


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