2009/08/30

たまには日本のものも・・・

Posted in ハーモニカ・プレイヤー tagged , @ 11:31 am by Yuki

意識して避けているわけではないのですが、このブログでは日本人ハーピストを取り上げることは多くありません。普段読むのは英語のサイトばかりで日本のハープ事情には全く詳しくないことと、ハープ関係の知り合いはほとんどこちら (ヨーロッパとアメリカ) の人だということがあって、やはりこちらの話題が中心になってしまいます。しかし今日はめずらしく、ジャパニーズ・ハープメンのかっこいい演奏を紹介したいと思います。大野木一彦さんとマッドハープ加藤さんのデュオ。十穴祭ブルースフェスティバルというイベントでの演奏だそうです。

ハリーハリーベイビー

大野木さんはこのブログを読んでご丁寧なメールを下さって、それ以来、たまにメールやCDを交換させていただいたり、うちの夫のカスタム・ハープのテスターになっていただいたりしています。数少ない日本人のハープ友達 (と勝手に呼んでいる。) であります。マッドハープ加藤さんも同じくブログを通して知った方で、ブログを相互リンクさせていただいています。

この演奏は、アンサンブルとしてとても上手く仕上がっていると思いました。加藤さんのリラックス感と、大野木さんのハープ (ちょっとキム・ウィルソンを髣髴とさせる) が合わさった感じがよいです。ハーモニカ同士のセッションってやかましくなりがちなのですが、お二人ともバックアップが上手なので、お互いの邪魔にならないように上手く避けあっています。加藤さんの歌も、ちょっとオーティス・スパンみたいな感じで味があって素敵です。

お二人とも、関西を中心に演奏活動やレッスンをなさっています。お近くの方、機会のある方はぜひぜひチェックしましょう。

NOGIOH.COM
マッドハープのBLUESHARP日記

2009/08/23

James Booker: St. James Infirmary

Posted in ハーモニカ以外 tagged @ 10:07 pm by Yuki

お馴染み “St. James Infirmary”。有名な曲で多くの人が演奏していますが、一番好きなバージョンはジェームス・ブッカー (James Booker) のもの。

James Booker: St. James Infirmary

booker_resurrection

ブッカーは私の piano god なのですが、いつも聞きまくっているかというと、実はそうでもありません。この人の演奏は、魂の奥の暗い部分まで入り込んでくるので、かなり気合を入れないと聞けないのです。BGM などには絶対にできない。その代わり、聞く時は集中して、身も心もすっかりゆだねて、しっかりと聞きます。聞いた後には、素晴らしい小説を読んだ後のような、「しん」 とした静けさが心の中に残ります。

このクリップの演奏は、”Resurrection of the Bayou Maharajah” というアルバムに収められています。

2009/08/18

Rick Estrin at SPAH Annual Convention

Posted in ハーモニカ・プレイヤー tagged , @ 8:54 pm by Yuki

毎年アメリカで行われる SPAH (Society for the Preservation and Advancement of the Harmonica) のイベントが今年も終わり、その模様が YouTube に続々とアップされています。特に私の気に入ったのが、こちら。

Rick Estrin “Gettin Outta Town”

estrin_biw

リック・エストリン (Rick Estrin) のソロです。オフィシャルなプログラムの演奏ではなくて、ホテルの一室で撮られたプライベートな演奏。エストリン・ファンならば、ぜひ保存してとっておきたい映像ではないでしょうか。録音・録画をしたのはリチャード・スレイ (Richard Sleigh) 。後ろでうろうろしているのが見えます (笑)。リチャードは去年も自室にブレンドン・パワー (Brendan Power) やデヴィッド・バレット (Dave Barrett) を招いて、セッションしたものを録画して YouTube にアップしていました。オフィシャルなプログラムの合間にも、こうしてハーモニカ三昧。素晴らしきハーモニカおたく達ですね。

2009/08/13

楽器の強み

Posted in ハーモニカ・プレイヤー tagged @ 9:32 pm by Yuki

最近、ハープ仲間の間で話題になっていたビッグ・ウォルター (Big Walter Horton) の映像。
Walter Horton, Floyd Jones – Goin Down Slow

ビッグ・ウォルター様は、私のハープ・ヒーローの一人であります。ハーモニカを練習し始めた頃、「こんなふうに吹けるようになりたい」 と一番の目標としたのが、ウォルター様だったのです。それぞれの楽器にはその楽器特有の強みというものがあって、その強みをどのように最大限に引き出すかということが、優れた奏者の成せる業だと思います。ビッグ・ウォルターの演奏は、初心者の私にもわかるくらい明確に、ブルース・ハープの持つ強みを引き出していると感じました。

big_walter_od

私は所詮ピアノ弾きなので、気をつけていないと、ハーモニカの強みというものをあまり考えていない演奏になってしまうことがあります。そして、こうしてウォルター様の演奏を聞いたりして、反省したりするのです。

2009/08/10

ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その2 (貧乏音楽家的生活)

Posted in ハープ日記 tagged , @ 10:59 am by Yuki

今日は、貧しいミュージシャンの生活の様子を少し書いてみたいと思います。音楽とは直接関係のない話なので何の役にも立ちませんが、同じような貧乏音楽家的生活を送っている方の慰みくらいにはなるかもしれません。

今回のジョーのコンサートは、ブリストルから車で3時間ほどの街で行われました。コンサートが終わるのは深夜なので、一泊して旅の疲れを癒し、次の日にゆっくりと帰るというのが理想だったのですが、この週末は、翌日もそのまた翌日も、遠方でのギグが入っていたのです。それで、楽器やアンプなどのエキップメントを車に積み込んで出発し、ジョーのコンサートの後は一泊して、その翌日は家に帰らずに、ジョーとランチをした後、まっすぐギグをする街へ行き、そこでまた一泊して、その翌日に別の街でもう一本ギグをして家に帰るというスケジュールを立てたのでした。

私のような貧乏音楽家は豪奢なホテルに泊まる余裕などもちろんなく、いつもは安めのホテルやB&Bを利用するのですが、今回滞在した2つの街はどちらも観光地で、しかも今はサマー・ホリデー・シーズン真っ盛り、その上週末だったということもあって、一番安いホテルでもかなりの値段だったのです。それでどうしたのかというと、久しぶりにバックパッカーを利用しました。バックパッカー、つまりホステルです。とは言っても個室がとれたので、ホステルとしてはかなり優雅(?)な滞在ではあったのですが。

baggies

さて、泊まる場所はかろうじて確保したとはいえ、次に問題となったのが、ギグの機材。イギリスでは (日本でもあることなのかもしれませんが。) 駐車している車から物が盗まれるということが決して珍しいことではないので、車の中には絶対に機材を残したくない。ということで、機材をホステルの部屋まで運ぶことにしました。そして、こういう時に限って、部屋は最上階と決まっているんですね。重いアンプやピアノを持って、6つある階段をぜええぜええ言いながら上ったですよ。全部で4往復はしました。荷物とギグの機材を運んだら、小さな部屋は既にいっぱい。ちなみに2日目は、ギグの会場の方が、親切にも機材を翌日まで預かってくれたので助かったのでした。感謝。

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ベッドと洗面台とデスクが置いてあるだけの小さな部屋。トイレとシャワーはもちろん共同。こういう宿に泊まる時に私の頭をよぎるのが、「シャワーのお湯が出るだろうか?」 ということなのですが、今回は、一つ目の宿はちょろちょろながらもきちんとお湯が出て、二つ目の宿は案の定、冷水シャワーでした。シーツも布団や枕のカバーもご自分でどうぞ、という感じで放置されています。でも私はこういう時、「洗濯されたシーツとカバーがあるだけまだまし」 と思ってしまうんですね。私は若い頃に、ヨーロッパ諸国をうんと過酷な旅をして回ったのです。見るからに洗濯されていないであろうシーツ、ワラジムシが歩いているベッド、水の流れないトイレ、電気が点かない廊下やトイレ、真冬なのに暖房の利かない部屋、朝までこうこうと電気をつけて大声で話す人達とのルーム・シェア、3週間パンとチーズだけという食事、暴風雨の中、びしょ濡れになりながらテントを張ってするキャンプ・・・そんなのに比べたら、今回の洗濯済みのシーツと洗面台付き個室なんて上等です。旅行に限らず、「あれに比べたらまだまし」 と思うような経験が私の人生にはいくつかあって、ひどい経験をするというのも時には役に立つものだと思います。

長時間のドライブ、ギグ、機材運び、スプリングが身体に当たるベッドと騒音による寝不足のおかげで、家に帰りついた時はどろどろに疲れておりました。貧乏音楽家はこうしてお金を節約して、ライブのチケットやCDやDVD、1本3万円弱するジョー・スパイアーズのカスタム・ハーモニカを買うお金を貯めたり、フェスティバルやワークショップに参加する費用を貯めたりしているのであります。

関連記事:
ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その1

2009/08/06

アンサンブルの楽しみ ・ その2 (ブルース・ミュージシャンとしての技量)

Posted in ハープ日記, ハーモニカ・プレイヤー tagged , , @ 11:46 am by Yuki

先日のジョー・フィリスコのコンサートでは、サポート・バンドの演奏が2つありました。どちらも地元の若いバンドです。流れとしては、ウィル・ワイルドというハーモニカ・プレイヤーが率いるバンドがまず演奏して、次にジョーが1時間ほどアコースティック・ソロの演奏をし、その後、もうひとつのバンドの演奏があり、最後にこのバンドにジョーとウィル・ワイルドが加わって、セッションで締めくくるというものでした。

ジョーに会うために開場前に中に入っていた私は、サウンドチェックの様子を見る機会があって、実はどちらのバンドにもあまり期待していなかったのです。でも本番では、このウィル君という若きハープ・プレイヤーのバンドは、とても良い演奏をしていました。ヴィブラートの音や、あまりにも露骨にパッカーを押し出したアプローチが私の好みではないのですが、このような演奏が好きだという人がいるのは理解できるし、そういった評価に値するプレイヤーだと思います。このバンドは普段はエレクトリック・ギターを使うらしいですが、今回はアコースティック・ギターでの演奏でした。おそらくジョーのサポートであるということを考慮しての選択で、そういうセンスの良さや柔軟性にも感心します。そして何より私の気に入ったのが、ウィル君がきちんと他のミュージシャンとのセッションができるということです。サウンドチェックを聞いていた際は、「ハーモニカが一人よがりに吹きまくるマスターベーション的演奏になるのではないか」 という予感がしたのですが、本番ではギターがソロを取る場面ではすっと引いて上手くバックアップしていたし、最後のセッションでも、ジョーとかぶらないように音量をコントロールしたり、ハーモナイズしたり、引くところでは引いて出るところではしっかり出るという演奏をしていました。彼はまだ20歳だそうで、先が楽しみです。
Will “Harmonica” Wilde (myspace)

w_wilde

ウィル君のバンドと正反対だったのが、もうひとつのバンド。音楽はもちろん、ファッション、歩き方、話し方、演奏中の身体の動きから、ローリング・ストーンズ (特にミック・ジャガー) の影響を受けているのが一目瞭然。ストーンズが悪いというのではもちろんないですが、音楽よりファッションや身のこなしが先走っているというその感じと、サウンドチェックの音から、「この人達、ブルースのセッションができるんだろうか」 という嫌な予感が頭をよぎりました。そして本番、予感的中。バンドの演奏自体は、私の好みでは全くないにしろ、まあこういうのもありかな、とは思いましたが、ジョーが加わってのセッションは、てんで話になりませんでした。ジョーがどんなソロを吹いていようが全くおかまいなしで、勝手に弾きまくって勝手に盛り上がって行くバンド。ジョーの音など聴いていないのが、見ていて明らかです。ウィル君のバンドを最後にしてセッションをした方が絶対に良かったのに、と残念に思いました。

ブルース・ミュージシャンとしての技量が本当に問われるのは、セッションにおいてだと思います。ブルースというランゲージを使ってコミュニケーションを取ることができなければ、それはもはやブルースではないと思うのです。その良い例 (悪い例と言った方がいいのか。) が、リトル・ウォルターがロックの殿堂入りをした時のセレモニーでの演奏。ハーモニカがジェームス・コットンというのはこの晴れ舞台にふさわしい適役だと思いますが、彼以外のバンドの演奏が、どう見てもブルースを知っている演奏ではないのです。”Juke” はコットンとバンドがばらばら。ブルースなんて12小節の枠を繰り返し演奏してればいいんだろう、というバンドの感じが見え見えで、コットンのソロに反応することなどもちろんありません。ブルースを演奏し慣れた人なら、(たとえリハーサルなしのセッションだったとしても) ここでコットンがやりたいことは実に明快なはずですが、このバンドにはコットンの意思が全く伝わっていません。コットンが、「おい、合わせろよ」 という感じでバンドの方をちらちらと何度か見ていますが、それも見事に無視。そんなだから、最初から最後までコットンとバンドが4小節ずれていても気づかないという事態になるのです (終盤でコットンがかろうじて合わせていますが)。そして、”My Babe” はギターが張り切りまくり、弾きまくりで、もううるさいったらないです。

リトル・ウォルターがロックの殿堂入りしたのは (おそらく) 喜ぶべきことですが、このセレモニーはひどかった。冒頭のエリック・クラプトンのリトル・ウォルターについての見解も全く的はずれだし (”crude” という言葉は他のブルース・プレイヤーに当てはまることはあっても、リトル・ウォルターには当てはまらない、というか、むしろその全く逆だと思います)。リトル・ウォルターもジェームス・コットンもなんだか気の毒ですね。このクリップを見る度に、頭が痛くなる私です。
Little Walter’s induction into the R&R Hall of Fame

関連記事:
アンサンブルの楽しみ ・ その1

2009/08/03

ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その1

Posted in ハープ日記, ハーモニカ・プレイヤー tagged @ 5:08 pm by Yuki

週末、ジョー・フィリスコ (Joe Filisko) のコンサートがあったので、ちょっと遠出をして会いに行ってまいりました。ジョーは3年前にブリストルのハーモニカ・フェスティバルに来た時に、一度お会いしています。うちの夫はこの時、ジョーの演奏にひどく心を動かされ、それ以来、心の師として仰いでおります。ジョーも夫の演奏を気に入ってくれたので、会う回数は少ないとはいえ連絡を保ち続け、今回も事前に電話で話をして、コンサートの前と翌日に食事でもしようと言っていただいたのでした。
ジョーの話を聞いていると、「この人は本当に、ハーモニカという楽器を心から愛して、理解しているんだなあ」 としみじみと感じます。ハーモニカに限らず、ブルース全体の歴史についてのジョーの知識は膨大で、話を聞いているだけでとても勉強になりました。私とはちょっと考え方が違うな、と賛同しかねる点も少しありましたが、一意見としては筋が通った尤もな考えだとも思いました (これについてはジョー自身も、人によって意見が分かれるところだろうと言っていました)。

実は私はブリストルのフェスティバルでは、ギグが入っていたため、ジョーのコンサートは見逃してしまったのです。ワークショップではその演奏を聞いたものの、きちんとしたコンサートは今回が初めてで、(夫の太鼓判もあり) とても楽しみにしていました。
どきどきわくわくしながらの一曲目。なんと、「この曲は、ブリストルから来てくれたジョンとユキのために演奏します。」 と言ってくれたのでした。うおーん (泣)。そんなこと言われたら泣いてしまう。しかも使ったのは夫が贈ったハーモニカで、演奏後に、「これは、ジョンがプレゼントしてくれた素晴らしいハーモニカです。」 とまで言っていただいて、更に感動。今年の春から本格的にカスタム・ハーモニカとリペアの仕事を始めた夫は、カスタム・ハープの本家本元であるジョーの意見が聞けたらと、この日のためにハーモニカを一本カスタマイズしてプレゼントしたのです。この贈り物はとても喜んでもらえ、気に入ってもらえて、コンサートでは数曲の演奏に使っていただきました。よかったよかった。

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ジョーのアコースティックの演奏は、ハーモニカという楽器と、その奏法を発展させて来た奏者達への愛情と尊敬と謙虚さに溢れています。ものすごいテクニックを持った人ですが、彼の演奏を聞いているとそういうことはあまり気に留まらなくて、ただただ音楽の素晴らしさを体感するのみです。聞いていて鳥肌が立ってしまう。特にトレインの曲はすごかったです。トレイン・サウンドを使った曲は多くの人が演奏していますが、こんなに素晴らしい演奏を聞いたのは初めてでした。
コンサートの終盤ではバンドとのセッションがあり、アンプリファイドの音も聞けてとても幸せでした。この人は、マイクを握ると豹変するという印象があります。アコースティックの演奏とはうって変わって、ダーティーでダークな音で攻めるジョー。はああ、かっこいい。セッションでは地元のハープ・プレイヤーが加わって、彼がアンプリファイド、ジョーがアコースティックで演奏していたのですが、最後にマイクを借りて、ジョーもアンプリファイドで演奏することになったのです。ジョーがマイクを持った瞬間、「ジョーがアンプを使って演奏する!!!」 と興奮してしまった私であります。後で夫に、「ジョー・フィリスコがアンプリファイドで演奏するからと興奮する妻を持つ人は、たぶんあまりいないと思う。」 と言われてしまったのでした。それは確かにそうかもしれない。

近々リリースされる予定のジョーのニュー・アルバムのコピーを一足早くいただいたこともあり (ジョーから夫へのプレゼントでした。)、しばらくはジョー・フィリスコの世界にはまりそうです。

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写真はいただいたTシャツ。私にはちょっと大きいのですが、とってもうれしい。大切にします。

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ジョー・フィリスコに会いに行く ・ その2 (貧乏音楽家的生活)