2011/05/26

ブルース・ロックというもの、横ノリ縦ノリについてもう少し

Posted in テクニック tagged @ 8:51 am by Yuki

先日、ロックとブルースのノリの違いなどについて書きましたが (>バックビート、横ノリ – Randy Bermudes について思うこと)、「ロックでもそんなノリはしない」 というコメントをいただいたりして、上手く説明できていなかった気がするので、今日はちょっとその補足です。

英語であまり思わしくないブルースの演奏を批判する時に、”rocky” という言葉がよく使われます。ロックっぽいという意味です。ブルースにディープにはまり込んでいるミュージシャンは大抵、ブルースとこのロックっぽい 「ブルース・ロック」 との間に線を引いています。私個人としては、ブルース・ロックでもごくたまにいいなと思うものもありますが、でもやっぱり上手く (かっこよく、センスよく) 仕上げるのは難しいな、と感じることの方が圧倒的に多いです。チャーリー・マッスルホワイトのアルバム “Delta Hardware” についてのキッド・アンダーセン (このブログでは最近よく登場しますね。) による話が、ブルース・ミュージシャンにとってのブルース・ロックというものの位置づけの良い説明になるかと思うので、ここでちょっと紹介しますね。

「このアルバムは、ブルースと 『ブルース・ロック』 という畏怖されるべき呼び名の、新しい録音だと思う。このアルバムはロック的傾向はあるけど、多くのブルース・ロックと相反するのは、これがロック・プレイヤーによって演奏されたブルース・ミュージックではなくて、シリアスなブルース・ミュージシャンがそのフィルターを通して、新しい工夫を加えて演奏したロックのアイディアだっていうことなんだ。」

訳が下手でわかり辛くて申し訳ありません (汗)。アルバムの好き嫌いはあるかとは思いますが (私はかなり好きです。)、キッドが自分達の音楽と典型的なブルース・ロックとの間に区別をつけていること、それから彼の 「ブルース・ロック」 と呼ばれることへの恐れのようなものが、この話から感じていただけたらと思いました。音楽的方向性は “Delta Hardware” とは違いますが、先日の John Nemeth のクリップの演奏も、ちょっとこの域でしょうか。

最初からロッキーなブルース・サウンドを目指している場合もあるでしょうが、そうではなくて、ブルースを演奏しているつもりなのにブルース・ロックになってしまうということはよくあると思います。その原因は色々ありますが、バンド全体のサウンドとしては、先日も書いたようにグルーヴの感じ方がその原因のひとつだと私は思うんですね。ロックと一言で言っても本当に色々ありますし、ブルースだって時代や地域などによってスタイルが異なるので、「ロックはこう」、「ブルースはこう」 とひとまとめにして語ることができないというのは重々承知しています。でも、ロックでは普通にあり得てもブルースではあり得ないことというのもやはり存在して、そのひとつが先日も書いた、全てのビートを均等に感じるノリと、縦ノリの感じだと思います。その例としてエルヴィス・コステロの名曲、”Pup It Up!” についてちょっと書いてみますね。ブルースとこういう曲を比べるというのはかなり無理がありますが、縦ノリという感じがわかりやすいので、比べるというよりも縦ノリを感じるという意味で聞いていただけたらと思います。

Elvis Costello – Pump it up

は~、かっこいいですねえ。踊りだしたくなってしまう。この頃のコステロは大好き。The Attractions のベースってかっこよかったですよね。”Lipstick Vogue” とかも・・・。ブリット・ロック万歳。

さてこの曲、全体的には比較的オフ・ビート (2拍目と4拍目) が強調されていますが、”Pump it up…” というコーラスの部分とエンディングは見事に全拍が強調されていますね。ドラムのパートを聞くと特にわかりやすいです。ここは思いっきり縦ノリで踊りたい。この曲の気持ち良さは、なんと言っても曲中のこのグルーヴの変化にあると思います。それから、バックビートの所でも、ズンッズンッズンッズンッと全拍が強調される感じも常にあって、そういうのはやっぱりロックだなあと思います。この曲は極端な例ですけれども、こういう感じって他のロックの曲でも普通にありますよね (もちろん全てのロックがこのノリだとは言いませんが)。でもブルースをこの小刻みな感じの縦ノリでやると、ロッキーになってしまう危険性大です。感じ方は人それぞれだとは思いますが、私にとっては、同じバックビートでもブルースは横ノリで、そのグルーブはロックの小刻みな感じではなくて、もっと息が長くてうねりがあってセクシーで、身体の奥深いところで感じるものです。ブルースは骨盤で感じるものだというキム・ウィルソンの話を以前書いたことがありますが、そんな感じでしょうか。

なんだか説明するつもりが余計な混乱を招く結果になってしまったような気がしないでもないですが、”Pump It Up” を楽しんでいただけたら、それだけでもうれしいです。
しかしコステロはこんな立ち方をして、足くじいたりしないんでしょうかね?

広告

2件のコメント »

  1. shin555 said,

    グルーブを言葉で説明するのは本当に難しいんですね。
    ブルースセッションに通いだして5年目、それまではバンド経験もない私には不可能です。
    それでもセッションに参加しているとブルースとブルースロックの違いは当然感じます。
    自分が参加したセットでブルースのグルーブを感じられた時は最高です♪
    もっともそれは私だけの勘違いかもしれませんが・・・(汗)
    今回の記事ではっきりと私にも判ることは、コステロの足首の柔軟性です!
    私なら5秒でくじきますね。。。

    • Yuki said,

      >shin555さん

      5秒!ラッキー・ナンバーで来ましたね。
      私は5秒も持たないかも。

      グルーヴの身体の感じ方は人によって違うし、それを表現する言葉や方法も違うので、説明するのはなかなか難しいですね。でも、ぴたっとくる人たちとの演奏は最高に気持ちが良いですよね。


コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。