2008/08/05

1穴タング・ブロック

Posted in テクニック tagged , @ 9:56 pm by Yuki

最近、ビッグ・ウォルター (Big Walter Horton) のコピーをしています。今日は、大好きなアルバム “Little Boy Blue” に収められた “Two Old Maids” を練習しました。このアルバムは、ウォルターのソロをすべて口ずさめるくらい何度も聞いてきたので、コピーするのは比較的楽ではありますが、それにしても耳コピというのは根気がいるし、時間のかかる作業であります。

ビッグ・ウォルターのコピーをする時に必要なるのが、1穴のタング・ブロック。普段タング・ブロックで演奏する人でも、1穴の奏法は色々で、パッカーを使う人もいれば、タング・ブロックとパッカーをその時によって使い分ける人もいます。これは、他の穴のように左側に押さえる穴がない1穴は、タング・ブロックをする必要性があまりないし、特に1穴のベンド音はパッカーの方が良い音色が出しやすいことが多いのが理由だと思います。シングル・ノート (単音) を吹く分には、1穴はパッカーで十分だと思いますが、ビッグ・ウォルター特有の、タング・スラップを使ってコード・リズムをいたるところに入れる演奏では、1穴のタング・ブロックが必要になってきます。

この時のタング・ブロックは、舌の左側で2~3穴、または2~4穴を押さえてします。他の穴が、舌の右側を使って吹く穴の左側を押さえるのと、ちょうど逆のやり方ですね。慣れるのにちょっと時間がかかりますが、これができるようになると、1穴でもタング・スラップをすることが可能になります。

ビッグ・ウォルターの演奏は、ぱっと聞いた感じではそれほど音は多くはなくシンプルに思われますが、よく聞くとたくさんの効果音が使われているので、そういう微妙なトリックを学ぶには最適だと思います。一音一音コピーするというのはけっこう大変な作業ですが、大好きな曲が吹けるようになるというのは、やはり楽しいです。耳コピは、自分の好きな曲を選ぶのが上手く続けられるコツなんだろうな、と思います。

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タング・ブロック - その2

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2008/07/11

タング・ブロック - その2

Posted in テクニック tagged @ 11:39 pm by Yuki

先日、タングブロックについて書いたら (>タングブロック - その1)、ハーピストの方々から 「自分の場合はこうだ」 というコメントいただいたので、今日は、タングブロックがどのくらいブルースハープの世界に普及しているかを書いてみたいと思います。

モダン・ハープ・プレイヤーの中で、ほとんど全てをタング・ブロックで演奏しているのは、前述のデニス・グルンリング (>Dennis Gruenling) と、ジョー・フィリスコ (>Joe Filisko)。これは本人の口から聞いたので間違いありません。それから、イギリスでは有名なローリー・ガルマン (Laurie Garman)。ローリーは、リック・エストリン (Rick Estrin) からタングブロックを学んだと言っていたので、(エストリン本人から聞いたわけではありませんが) 彼もタングブロッカーということになります。キム・ウィルソン (Kim Wilson) は、年々、タングブロックで演奏する率が増えていっていると、デニスが言っていました。あと、これは人づてに聞いた話なので定かではありませんが、速吹きで有名なシュガー・ブルー (Sugar Blue) もタングブロッカーらしいです (実は彼の演奏はあまり好みではないのですが、それはさておき)。同じ速弾きでも、ジェイソン・リッチ (Jason Ricci) はあまりタングブロックを使わないらしいです。これは確か、デニスから聞きました。

さて、ここからは往年のプレイヤーの話なので、私の想像になります。間違っているかもしれないので、頭から信用しないでくださいね。

「この人は大半をタングブロックで演奏していただろう」 というのが一番わかりやすいのが、ビッグ・ウォルター・ホートン (Big Wlater Horton)。ビッグ・ウォルターの演奏は、タング・スラップで作るアタックやリズムなどのエフェクトがいたるところに散りばめられているので、 これはもう、タングブロッカーならではの演奏という気がします。それから、ソニー・ボーイ・ウィリアムスン二世 (Sonny Boy Williamson II)。これも、ビッグ・ウォルターと同じ理由です。

ジョージ・スミス (George “Harmonica” Smith)、ジェームス・コットン (James Cotton)、ウィリアム・クラーク (William Calrke) の演奏も、タング・スラップやタング・トリルなど、タングブロックの痕跡 (笑) は見られますが、どこまで徹底していたのかは、私にはわかりません。デニスはジョージ・スミスを賞賛しているので、ジョージ・スミスもタングブロッカーだったのかな?とすると、彼の弟子だったウィリアム・クラークもタングブロッカー?ソニー・ボーイ二世の元で学んだコットンもタングブロッカー?、、、これはちょっと安易な考えでしょうかね。パッカーを使う人でも、大抵は、タング・スプリットやタング・トリル、タング・スラップなどのテクニックを使うので、なかなか見極めが難しいです。

ここからは人に聞いた話ですが、リトル・ウォルター (Little Walter) のトリビュート・アルバムを出したデニスは、リトル・ウォルターはタングブロックとパッカーのミックスだっただろう、と言っていました。ソニー・テリー (Sonny Terry) の研究をしていて、本も出しているトム・ボール (Tom Ball) は、ソニー・テリーはパッカーだったと書いていました。トム本人も、タング・スプリットなどをする時の他は、パッカーだそうです。

それほど一般的ではないようですが、Uブロックという、舌をUの字に丸めてするタングブロックもあります。

私自身は、タングブロックで演奏するようになって、良い音色が出しやすくなったし、ベンドのコツもつかみやすくなったと思います。タング・スプリットやタング・スラップなども、パッカーの時より自然にできやすいと感じます。

しかし、このブログ、どんどんマニアックな内容になってきていますね、、、。ふぅ (ちょっとため息)。

2008/07/10

タング・ブロック - その1

Posted in テクニック tagged , @ 12:07 am by Yuki

舌を使ったテクニックは、オークターブ、タング・スラップ、タング・トリルなど、色々ありますが、今日は、シングル・ノート (単音) を舌を使って演奏するタング・ブロック奏法について書きたいと思います。

単音の吹き方として、パッカー (pucker) という奏法と、タングブロック (tongue block) という奏法があります。 パッカーは、普通にハーモニカをくわえて、口をすぼめるようにして吹きます。それに対してタングブロックは、吹く穴の左側の穴を舌で押さえながら吹く奏法です。例えば、4穴を吹く場合、2~3穴、または1~3穴を舌で押さえて音を出すわけです。

単音をタングブロックで演奏することの利点は、何といっても、良い音色が得られやすいということでしょう。タング・ブロック奏法だと、ハーモニカを口の奥の方でくわえることになり、更に、喉や口の中が開きやすいので、良い音が出しやすいのです。また、舌がハーモニカに固定されているため、喉の正しい位置でベンドをしやすくなるので、「口先でベンドする」 という間違いを免れ、良い音色でベンド音が出やすくなります。

もちろん、良い音が 「出しやすくなる」 というだけで、タングブロックで吹けば魔法のように良い音色になるというわけではありません。タングブロックでも、注意しないと、口先だけの音になってしまうことや、喉や口の中が閉じてしまうこともあり得ます。しかし一般には、タングブロックで演奏される音色は、パッカーでの音色よりも、厚く、深く、丸みがあると言われます。

私は、2年ほど前に、ハーモニカを真剣に練習することを決めたのですが、その時にパッカーからタングブロックへ切り替えました。きっかけは、私のハープ・ヒーローであるデニス・グルンリング (>Dennis Gruenling) がタングブロックで演奏しているから、という安易な理由でした。デニスは、良い音色を得るにはタングブロックが不可欠だとしていて、1穴と10穴で時々パッカーを使うことはあるものの、後は全て (ブロウベンド、オーバーブロウを含む。) タングブロックで演奏します。私は、デニスのライブを見て真剣にハープに取り組むことを決めたので、手始めにタングブロック奏法から取り組むことにしたのであります。

長年パッカーで演奏してきて、タングブロックに切り替える決意をするハーピストは多いです。これはハーピストにとって、一からやり直しみたいな試練です。私も、現在はタングブロックで演奏するのが自然になりましたが、パッカーからの切り替え時はなかなか大変でした。でも、慣れると、今度はパッカーが不自然に感じるようになるから不思議ですね。

写真は、大好きなデニス。