2010/04/02

トレモロとビブラート

Posted in テクニック tagged , @ 9:58 am by Yuki

ビブラートの話が続いたので、今日はついでにトレモロとビブラートの違いについて。

日本では、隣り合った2つの音を交互に鳴らすテクニックをトレモロと呼ぶこともあるようですが、これは英語圏では、ウォーブル (warble)、トリル (trill)、ヘッドシェイク (head shake) などと呼ばれます。それでは英語で言うトレモロとは何なんだ、ということになりますが、これはスロート・ビブラート (= throat vibrato, 喉を使ってするビブラート) と非常に良く似たテクニックのことを指す場合が多いです。呼び方は人によって違いがあることもありますし、さほど重要ではないですが、この2つのテクニックの違いを知っておくことは大切だと思います。

トレモロとビブラートの違いは、ピッチ (音程) の変化を伴うものがビブラート、ピッチの変化を伴わないものがトレモロ、と一般的に認識されています。Wikipediaにあったスペクトログラムを使った図解がとてもわかりやすいので、ここで引用します。トレモロではピッチが一定しており、ビブラートではうねうねと音程の波があるのが見て取れると思います。

つまりハーモニカでは、一定の音にベンドを加えて (ピッチを変えて) 変化をつけるのがビブラート、ベンドを加えずに (ピッチを変えずに) 変化をつけるのがトレモロ、ということになります。テクニック的には、喉を開けたままするのがトレモロで、そのトレモロのテクニックを喉を閉じて (ベンドして) するのがビブラートです。喉を少し閉じるとソフトなビブラートとなり、たくさん閉じるとより深いベンドとなるため、ディープなビブラートとなります。ジョー・フィリスコが、ワークショップでトレモロとビブラートの違いを実演して見せてくれたことがありますが、これは目から鱗でした。
スロート・ビブラートの他にも、先日リー・サンキーが実演していた (>Lee Sankey – sweet vibrato) 顎を使ってするジョー・ビブラート (jaw vibrato) などがあり、これは喉を閉じる代わりに顎を動かしてベンドするやり方ですが、音をベンドしてピッチを変えるという点はやはり一緒です。

ビブラートに色々あるように、トレモロも非常にソフトなものから機関銃の連射音ようにシャープなものまで、色々とあります。様々なビブラートとトレモロを試しているだけで、1時間くらいあっという間に過ぎてしまいますね。

トレモロをよく使っていたのは、ビッグ・ウォルター (Big Walter Horton) とジョージ・スミス (George “Harmonica” Smith) で、この二人はもう、トレモロ王ですね。彼らが使っていたのはほとんどがトレモロで、ビブラートを使う時でも、ほぼトレモロに近いビブラートということが多いと感じます。例として、ビッグ・ウォルターの有名な “Easy” を紹介します。

Walter Horton – Easy

しかし、”Easy”、久しぶりに聞きましたが、やはりすごいですね。ちなみに、この曲の元となっているのは、アイボリー・ジョー・ハンター (Ivory Joe Hunter) の “I Almost Lost My Mind” です。

ivory joe hunter/i almost lost my mind (1950)

広告

2008/07/16

Now You Can Talk About Me – George “Harmonica” Smith

Posted in CD tagged , @ 8:59 am by Yuki

他のハーピストに比べると有名度はいまいち低いジョージ・スミスですが、この人に影響を受けたハーピストは多いです。ウィリアム・クラーク (William Clarke) やロッド・ピアッツァ (Rod Piazza) などに続くウェスト・コースト・ブルース・ハープのスタイルは、この人なしには始まりません。

迫力のダイアトニックと、美しく妖艶なクロマティック。どれも良い演奏なのですが、私がこのアルバムで一番好きなのは、ロッド・ピアッツァが参加している “Astatic Stomp”。ロッドの完璧とも言えるソロから始まり、その後、張り裂けるように始まる (この人は、本当に特色のある音色をしていますね。) ジョージのソロ。それに答えるロッドのソロの出だしは、太いビブラート。お互いを影響、刺激し合いながら音楽を作り上げていく二人。最後の掛け合いもかっこいい。「ブルースって素晴らしい音楽だなあ」 と思う一曲です。

ブルース・ハープのデュエットというのは、上手く演奏するのはとても難しいと思うのですが、この曲は本当によくできていると思います。何度聞いても飽きない一曲です。”Astatic Stomp” というタイトルも、洒落ているじゃありませんか。