2014/01/17

James Booker – Classified Remixed and Expanded

Posted in ハーモニカ以外, CD tagged @ 10:27 am by Yuki

もう昨年の話になってしまいましたが、ジェームス・ブッカーのアルバム “Classified” のリミックス・バージョンが発売されました。

オリジナルのアルバムに未収録の9曲が加わった、全22曲。

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Classified は、実は私の中ではあまり好きなアルバムではありません。録音に使ったピアノのせいなのか、録音中 / 録音後の音処理の仕方のせいなのか、いまいちピアノの鳴りが悪い。ブッカーの魅力の、音色の素晴しさが伝わって来ない。

それでも数少ないスタジオ録音であり、ブッカーの生前にリリースされた数少ないアルバムであり、他では聞けないジャズっぽいフレーズを使った演奏などが入っていることもあり、 Classified は貴重なアルバムです。

それに何より、ブッカー・ファンとしては、未発表の録音がリリースされるのは嬉しいことこの上ないですね。ジェームス・ブッカーの映画 (Bayou Maharajah: The Tragic Genius of James Booker) を作った監督が、アルバムのプロデューサーであるScott Billingtonにテープを聞かせてくれと頼んだことがきっかけで、今回のリリースに至ったそうです。ありがたや。

中を開けるとなかなか素敵な写真もあり、それだけでも大満足(笑)。アルバム発売記念パーティーの席で、ピアノの前に座り、 Classified のLPを誇らしげにカメラに向けて微笑むブッカー。この後、死んじゃうんだよなあ、、、というやり切れなさを感じるのと同時に、晩年は苦しいことの多い毎日だったらしいけど、こんなふうに無邪気に嬉しそうに笑える瞬間もあったんだなあ、とちょっと救われた気もしました。

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2013/12/09

James Booker at Maple Leaf Bar

Posted in ハーモニカ以外 tagged @ 11:59 am by Yuki

久しぶりにYouTubeで “James Booker” を検索したら、メープル・リーフ・バーでのライブ映像がアップされていました。

彼が亡くなる10日前のライブ。このライブからの映像はこれまで何曲かアップされていましたが、今回のは全部で約1時間、しかもカットも少ないので、曲から曲への移り方とか、メープル・リーフの雰囲気とかオーディエンスの感じとか、見どころいっぱいです。ブッカーは日によって、話してばかりとか何も弾かないとかもあったみたいですし、毎回こんな感じだったわけではないとは思いますけれども、メープルリーフ・バーでのフル・ライブ(に近いもの)が見られるというのは、やはり貴重です。ぜひぜひ通して見ていただきたい。

>James Booker live part 1
>James Booker live part 2
>James Booker live part 3
>James Booker live part 4

ヨーロッパで録音/録画された完璧と言えるほどの演奏も大好きですが、私はやっぱりこういうブッカーが好きだなあと思います。ただただ思いつくままに弾く感じ。天才の成せる技です。

先日紹介したジェームス・ブッカーの映画の感想は、もう少し考えがまとまったら書きたいと思います。

2012/03/14

On the Sunny Side of the Street

Posted in ハーモニカ以外 tagged @ 1:59 am by Yuki

日曜日はものすごく良いお天気で、夫婦でマウンテンバイクに乗ってお出かけしました。太陽の光を浴びて、緑の匂いを嗅ぎながら、森を抜け、原っぱを駆け抜け、くまのプーさん (ディズニーのではなく原作の) が出てきそうな小川のほとりを走り、満開の桜の下を通り、エイヴォン川に沿って走る午後。先を行く夫の後ろ姿を眺めながら自転車を漕いでいると、幸せで幸せで、なんだか泣けてきてしまったので困りました。私はここ数年 (よく覚えていないけれど、たぶん最初の夫を亡くしてからだと思うのですが) 最高に幸せだと感じると、悲しくなってしまうことがあります。この幸せな時もいつか終わってしまうんだなあとか、この美しい人も (私にとってはということですけど、もちろん。) いつかこの世から消えてしまう日が来るんだなあとか、いつかお別れをしなくちゃいけない日が来るんだよなあ、などと思うとたまらなく悲しくなってしまうのです。でも、その悲しみを感じることによって、幸せが何倍にも膨れ上がるから不思議です。真の幸せは、悲しみを持つことによってのみ感じられるものなのかもしれない、などと思います。

この莫大な宇宙の営みの中では、私たちの存在は本当にちっぽけなもの。生まれて、生きて、死んで行くだけ。あと100年もしたら、私のことなんて覚えている人はたぶんほとんどいなくなってしまう。私が見た美しい風景も、太陽の光の中で子供みたいにはしゃいでいる夫の姿も、私たちが共有した幸せな思い出も、すべて消えてなくなってしまう。でも、それでいいんです。それが宇宙の法則であり、命はやはり、限りがあるからこそ尊く美しいものだと思います。

今日の一曲はそんな気持ちにぴったりな、”On the Sunny Side of the Street”。私にとってこの曲は、人生の幸せの真髄を表すような曲です。

コートと帽子を持って
心配事なんか戸口に残して
ただ足を通りの陽の当たる側に向けてごらん

パタパタという音が聞こえるよ
その嬉しそうな音は君の足音だね
人生って素敵に成り得るんだよ
通りの陽の当たる側ならね

ブルースを抱えて、道の日陰の側を歩いて来た
でももう怖くないんだ
陽の当たる側に渡って来たから

1セントも持っていなくても
ロックフェラーみたいにお金持ちになれる
だって、足元に金の粉が散らばっているんだ
通りの陽の当たる側にはね

サッチモやビリー・ホリデーの録音も大好きですが、私が一番好きなのは、やはりジェームス・ブッカーの演奏です。この曲はブッカーの定番でたくさんバージョンがあるのですが、今日は最後に歌も入っているこちら。”New Orleans Piano Wizard: Live!” というアルバムに入っているものです。

>James Booker – On the Sunny Side of the Street

歌は最後にちょっとだけですけど、ピアノが必要なことを全て語っています。この人のピアノはどうしてこんなに心に響くのでしょうか。それはやはり、人生における幸せや悲しみをよく知っていた人だからなのではないかと思います。

2010/02/17

復活!

Posted in ハーモニカ以外 tagged @ 10:19 pm by Yuki

この半年間ずっと私が抱えていた (というか巻き込まれていた) 問題が、やっと一段落しました。腑に落ちない点が多く、挫折感やフラストレーションも拭い切れない状態なので、本当に終わったのだという喜びを実感するのには、まだ時間がかかりそうです。今朝も早くに目が覚めて、怒りで頭がいっぱいになってしまったのですが、ジェイムス・ブッカーのこの演奏を聞いたら、胸が熱くなって、涙があふれて、少し心が楽になりました。”That’s Life” から “Ain’t Nobody’s Business”, “Precious Lord Take My Hand” へのメドレーです。
私のピアノ・ゴッドであるジェイムス・ブッカー。あなたなら、私の感じているこんな想いをわかってくれるよね。

James Booker – That’s Life

かなりしんどい期間でしたが、本当に色々なことを学びました。警察は欲しい物だけ搾り取って、自分達の犯した間違いやずさんな仕事振りについては、謝罪の一言もなし。その場をやり過ごすために嘘ばかり並べ、後になって 「そんなこと言っていない」 と否定。一般市民を守るべき立場にある彼らが、権力を乱用し、横暴に振舞う。人権を守るためにあるはずの法律は、実に曖昧にできていて、何の意味も持たない。そして、誰かの根拠のない一言によって、平穏な生活が一瞬にして壊されることもあるという世の中の仕組み。これからもこんな世の中で生きて行かなくてはいけないのかと思うと気が滅入りますし、人間不信にもなりそうです。今後はニュースの読み方が変わるであろうことは、まず間違いないと思います。

しかし、良いことも少なからずありました。怒涛のように押し寄せる様々な感情や現実的な問題に対処するうちに、私自身かなり成長したと思います。それから、親しい人達との人間関係。身近な人達とより深い関係を築き上げることができたことは、大きな収穫でした。大好きな人達が傷つけられ、苦しむのを見るのは自分の身を引き裂かれるように辛かったですが、それによって分かり合えたことは多かったです。夫との結束も更に固まり、これを一緒に乗り越えたからにはもう怖いものなし!という気もします。まあ人生長いのでこの先何があるかはわかりませんが、当分は心穏やかな日々が続いてほしいと願う毎日です。

そんな感じで、すっかりブルース・ウーマンな日々を送っていた私ですが、めでたく復活!です。こういう経験をしたからには、ジェームス・ブッカーのような説得力のあるブルースの演奏ができるようになろうとか、ベートーヴェンの後期のソナタをより深い解釈で演奏できるようになろうとか、何とか利用してやろうと、したたかに企んでおります。心配してくださった方々、励ましてくださった方々、ありがとうございました。本業の方が忙しい毎日なので、ブログの更新はしばらくスローペースのままとなるかと思いますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ジェイムス・ブッカーについてはこちら>James Booker のページ
この演奏が入っているブッカーのアルバムはこちら>United, Our Thing Will Stand

2009/08/23

James Booker: St. James Infirmary

Posted in ハーモニカ以外 tagged @ 10:07 pm by Yuki

お馴染み “St. James Infirmary”。有名な曲で多くの人が演奏していますが、一番好きなバージョンはジェームス・ブッカー (James Booker) のもの。

James Booker: St. James Infirmary

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ブッカーは私の piano god なのですが、いつも聞きまくっているかというと、実はそうでもありません。この人の演奏は、魂の奥の暗い部分まで入り込んでくるので、かなり気合を入れないと聞けないのです。BGM などには絶対にできない。その代わり、聞く時は集中して、身も心もすっかりゆだねて、しっかりと聞きます。聞いた後には、素晴らしい小説を読んだ後のような、「しん」 とした静けさが心の中に残ります。

このクリップの演奏は、”Resurrection of the Bayou Maharajah” というアルバムに収められています。